軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

536.やっぱり次はエルヴィンだった

翌日は、朝からエルヴィンにべったり。ヘンリック様の希望で、昨日から家族は本邸に滞在している。ユリアーナの私室も決まったし、できるだけ一緒に過ごしたいレオンや私の希望を取り入れた形ね。

こういう気遣いが普通にできるんだもの。ヘンリック様はやっぱり優しいわ。出会った頃は、感情や愛情の表現方法を知らなかっただけ。今になれば、昔の彼を思い出すことも難しいもの。

「では、いってくる」

「気をつけて、早くお帰りになってね。ヘンリック様」

「ああ」

ぶっきらぼうな口調は、自分だけ仕事に行くのが不満なのよ。ふふっ、全部表情に出ているわ。きちんと仕事をしてくるよう、背中を押すのも妻の仕事ね。見送ると、レオンはまたエルヴィンについて歩いた。何をするにも隣にいたいと訴え、エルヴィンは読書を諦めた。

そういう一人でできることは、後でも構わないわ。皆がいないと無理なことを優先してほしい。お散歩をする間も、レオンはエルヴィンと手を繋いでいる。お父様が寂しそうなので、反対の手を繋ぐよう提案した。

「おかぁしゃま、は?」

「ユリアーナと繋ぐわ」

「ゆん、は?」

「ん? そうだな……リア姉様と繋ぐよ」

レオンは左手をお父様、右手をエルヴィンと繋いだ。私も両手に双子を連れて、庭を散策する。途中でハンスに出会ったので、先日のスタンプのお礼を伝えた。やっぱり直接話したほうがいいもの。

「温室のほう、ほぼ完成ですだ」

土に汚れた手が招く温室へ入る。風が抜けるよう、あちこちを開けているから暑くは感じなかった。その代わり、ほわりと温かい。時折涼しい風が肌を掠めた。

「素敵ね、お姉様」

「これは見事だ」

ユリアーナとお父様が感嘆の声をあげる。本当に素敵だわ。

入り口から見えるのは、立派な花壇だった。大きく円を描く花壇は、中央に大きな植物を、縁に低い花々を植えている。高さを利用した作りは、噴水に似ていた。

奥には林のようになった一角があり、以前に樹木を中心にすると話していた場所でしょう。人の背丈ほどもある大きな葉っぱが広がる樹木は、根っこの上に何か実っている。もう少し大きくなったら食べられるそうよ。ハンスの説明に頷きながら、散策の半分を温室で過ごした。

「家具を運べば、お茶もできますだ」

以前に王家のお茶会で使用した話をしたのを、覚えていてくれたみたい。嬉しいと素直に伝え、用意を頼んだ。今日のお昼はここで頂きましょう。ハンスも誘ったけれど、仲間と食べるからと断られた。

「誘われるほうが気を遣うから」

お父様に指摘されて、失敗したわと手で口元を覆う。でも、まさかお父様に注意されるなんて。同じことを考えたエルヴィンと、顔を見合わせて笑った。