軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

535.お父様の悪い癖よ

着々と準備は進み、お父様やエルヴィンは忙しく領地と行き来している。荷物を自分達で運んでいるの。専門の業者を雇うように進言したら、手分けすると返された。お父様は領地で荷物を受け取って開封、エルヴィンは荷造りして発送する。

お父様達の手間のほうが高くつくわ。そう言って、私の判断で荷馬車を契約する。荷馬車に数人の手伝いをつけて運搬させたら、手間が一気に減った。

時間に余裕ができたので、エルヴィンは皆と過ごす時間を大切にし始めた。私とレオンのお茶会に顔を出したり、姪に当たるローズを抱っこしたり。ユリアンとは夜に同じ部屋で休んでいるの。いろんな話をするらしいわ。

お金の節約も大事だけれど、使うべきところを誤ると結果的に損をする。お父様の悪い癖よ。

エルヴィンはユリアーナとも積極的に話す時間を作り、オイゲンも顔を見せる。婚約者のお茶会なのに、兄同伴なのよ。外から見ていると不思議だけれど、今だけだから。私はエルヴィンの邪魔をしないよう、サポートに徹するわね。

お父様にも、戻ってくるよう伝えた。家族で一緒に過ごすのは、しばらくお預けになるの。他の誰かが代行できる仕事は後回しにして頂戴、と。私が言わないと、誰も言えないでしょう?

お父様も申し訳なさそうに帰ってきたわ。

「じぃじ、おひじゃ」

膝に座りたいと、レオンがせがむ。昨夜、ヘンリック様と二人で説明したのよ。お父様とエルヴィン、ユリアンはお引っ越する。時々しか会えなくなる、と教えた。意味がわからなくて、目を瞬いたレオンはゆっくり噛み砕いて理解する。

ほぼ毎日顔を合わせた人が、いなくなる。その実例を、すでにレオンは知っていた。別邸の管理人夫妻よ。祖父母のように甘やかしてくれた二人とも、突然会えなくなった。実際は休暇に会いに行けるけれど、子供にとって会えない時間は長く感じるのね。

いなくなるまで、出来るだけ一緒にいる時間を作ろうと提案したら、鼻を啜りながら頷いた。早速実践するレオンは、今日のターゲットをお父様に設定したみたい。

「おお! じぃじでいいのか? ほら、おいで」

大喜びで抱き上げるお父様が黒髪を撫でれば、嬉しそうに笑う。おやつも膝の上で食べ、寄りかかって眠ってしまった。お昼寝はベッドに運ぼうと思ったのに、お父様が離さなくて。ずっと長椅子でレオンを撫でていた。

「父上がいなくなると気づいたんだろうね」

甘えるレオンに優しい視線を向けるエルヴィンへ、私は予言を一つ。

「次はおそらく……エルヴィン、あなたよ?」

「それはないと思うよ」

さらりと流したエルヴィンだけど、ちょっと期待しているでしょう? 目がレオンに向いているわ。