軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

530.僕も選びたかった!

ああ、失敗したわ。目の前で地団駄を踏むレオンを見ながら、肩を落とした。

「やぁ! ぼくも、えぁぶの!!」

一緒に選びたかった。全身で訴えるけれど、商人はもう帰ってしまったの。困ったわね。

「レオン、お願いがあるの」

むっとした顔で唇を尖らせて、頬も膨らんだまま。それでも聞こえないフリをしない。レオンは紫の瞳で私を見つめた。顰めっ面だと上目遣いでも、睨んだみたいだわ。こんな顔していても可愛いと思う。

「ユリアンにあげるプレゼントがもう一つ必要なのよ。一緒に選んでくれないかしら? 素敵な騎士様が選んだら、ユリアンも喜ぶと思うの」

「よぉこぶ?」

「ええ」

「ゆん、あげゆの?」

「そうよ」

一つずつ確認し、レオンは小さく頷いた。手を差し伸べ、繋いで歩き出す。遠くで赤子の泣く声がした。ローズが泣いちゃったのね。でも、すぐに泣き声は聞こえなくなった。乳母もいるし、育児慣れした侍女もいる。私の育児は、これだけですごく楽だわ。前世ならベビーシッター付きと同じだもの。

年上のレオンを後回しにしないで済む。これだけで精神的に楽だった。全部を一人で背負って育児なんて、拷問に近いわ。いくら我が子が可愛くても、母親は一人しかいない。無理をすれば、ツケを払う羽目に陥る。

恵まれた環境に感謝しながら、レオンと歩いた。宝飾品がしまわれたクローゼットで、部屋の中の引き出しを開ける。きらきらと輝く宝石に、レオンは「うわぁ」と感嘆の声を上げた。

「この中で、どの色がユリアンに似合うか。レオンに選んでほしいの」

「ぼく?」

「レオンがいいなと思う色でいいのよ」

ここに並んでいるのは、ブローチだった。クラバットの中央に留めて使うことができる。私は縁にゴテゴテと飾りのついたデザインを好まないから、すっきりした形ばかりだった。その分、宝石の大きさが際立つ。

当初の贈り物より豪華だけれど、レオンが満足するならいいわ。それに……いずれ必要になるはず。プロになれば、演奏会で身に着けられる。もしダメで諦めたら、換金できる財産となるはず。

レオンは一つずつ手に取って、真剣に選び始めた。目の色ならサファイアで、髪色に合わせるならシトリンかしら。琥珀も似合うわね。じっくり眺めるレオンは意外な色で手を止めた。

紫色の水晶よ。その後、やはり青紫のゾイサイトを摘まむ。大きな飴のように透き通った宝石を眺め、水晶を選んだ。

「これ」

「レオンの瞳の色ね。素敵だわ」

この色を選んだ理由を尋ねたら、もじもじと指を絡めて弄った。言いづらそうにしながらも、ぽつりと声にする。

「ぼく、ゆん……わしゅれた、ら……やなの」

忘れられないように、自分の色を選ぶ。なぜかしら、切なくなっちゃうわ。ぎゅっと抱きしめて、黒髪の上で囁いた。

「大丈夫よ、レオンを忘れる子じゃないわ。ユリアンは私と一緒で、レオンを大好きだもの」

声もなく頷くレオンは、気づいている。しばらく会えない、その期間が長いことを。じぃじ、エル、ユン。当たり前だった日常の変化を、敏感に察した。

「おかぁしゃま、も?」

「いいえ、大丈夫よ。ずっと一緒にいるわ。レオンがもういいって言うまで、離れないからね」

もう離れてと言われても、しがみつきたいくらいよ。