軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

522.私だけ取り残された形ね

頑張りすぎなくていい。もっと逃げ道を用意してあげなくちゃ。子供は与えられた環境で育つんだもの。環境を整えるのは親の役目だけれど、どう活用するかは子供の自由だった。

そんな簡単なことも理解できなくなるなんて。世間のお母さん達が育児で迷うのも当然ね。離れてみたら、途端に見えてきた。何もかもお膳立てして、誘導してしまう。私の悪い癖みたい。

「お母様は今日、ローズとお外へ出るわ。お散歩してくるの。戻ったら私は温室に行くつもり」

ここで言葉を切った。レオンは朝食のパンを口に入れながら、うんと頭を縦に揺らす。

「レオンは何をするのか、教えて」

「ぼく、たんえん! そんで、おんしつ」

私とローズが散歩する間は鍛錬して、温室は一緒。自分で予定を決められるのに、いつも私が主導するから譲っていたんだわ。

「そう。温室へ行くときに声をかけるわね」

「うん!」

ヘンリック様は昨夜私と密着して眠ったので、機嫌がいい。早めに帰ると伝え、浮かれた様子で出かけた。レオンと見送り、迎えにきたユリアンと走っていく。騎士達が休憩時間を利用して、レオンの鍛錬を申し出てくれた。それでは悪いので、仕事の中に組み込んだの。

休憩に他の仕事をしたら、休憩ではないものね。ユリアンも気分転換に体を動かしている。お父様とエルヴィンが引っ越しのために、荷物の整理を始めた。手伝うと申し出たら、手は足りているそうよ。

ユリアーナの淑女教育の一環で、使用人への接し方があった。実習できる機会と捉えた先生が、荷造りを利用する。使用人達を連れて、離れに向かった。私は取り残された形ね。

猫の食事当番をユリアンから引き受けた。朝はあげたから、昼と夜は頼む。軽い口調で押し付けていったわ。あの子らしい。

「ローズ、ほらお花よ」

庭に出て花を楽しむ。首が据わったばかりで、あまり近づけられないけれど。乳母や侍女も連れて、ぞろぞろと庭を歩いた。面倒じゃないか尋ねたら、気分転換や運動不足解消と捉えている子が多い。使用人の数が足りていて、分業化されているから、困らないのね。

「奥様、王宮からお手紙が届きました」

緊急だったら散歩を切り上げるつもりだけど、普通のお手紙みたい。フランクが受け取って終わり。そう聞いたので、散歩を続行した。

戻ったから封を切る。便箋に書かれていたのは、三日後の訪問伺いだった。マルレーネ様ったら、参加者リストを付けてくれたわ。