軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

521.過保護すぎるのではないか

「というわけで、説得に失敗したみたいなの」

お腹が大きくなってから、夫婦二人で寝ることはなかった。いつもレオンが間に入って寝る。今後を考えるとまずいのもあり、妹の欲しかったレオンが我慢し受け入れた夫婦の一夜を復活させた。

寝かしつけたレオンを置いて扉をくぐり、待っていたヘンリック様に事情を説明する。昼間、どう説明してもレオンは納得しなかったの。感情を拗らせたりしないかしら。

「アマーリアの考えは尊重したいが……過保護すぎるのではないか?」

驚いて固まる。私を抱き寄せたヘンリック様は、腰に腕を回す。彼の膝に座る形で背中を預ける私は、顔が見えないことに不安を覚えた。何か間違った? レオンに納得してほしいと思うのは、違うのかも。

迷って俯いた私の頭に、ヘンリック様は頬を寄せた。動かずに待てば、続きが聞こえてくる。

「レオンは自分で考え、何を感じたか。表現するのはあの子の自由だ。大人が何もかも導いてしまえば、レオンは傀儡になるぞ」

そんなつもりはなかったけれど、外から見たら過干渉なのね。愛するあまり、束縛する母親の例を思い浮かべた。そんな話を聞いたことがあった。

「人がいなくなる痛みも大切な経験だ。まだ未熟だが、人として尊重するのだろう? ならば、あの子が不満だと表明する気持ちも理解してやってくれ」

すとんと腑に落ちた。言葉に反発する気持ちは、まったく湧いてこない。

「ヘンリック様も、そうだったの?」

声が悲しそうな気がして、つい口が動く。それから慌てて両手で口を覆った。もう遅いのに。

「勉強ばかり詰め込まれ、常に教師達に手を引かれて育った。自分で何かを選んだ記憶はない。アマーリアはレオンを自由にさせているが……ごく稀に理想へ導こうとする」

失敗してもいい。間違ってもいい。そう口で言いながら、あの子を理想の形へ押し込もうとしていた……最低だわ。

「だが、アマーリアがレオンを救い、俺の心も解放したのは事実だ」

ヘンリック様は、私ごとベッドへ転がる。横向きになって、包み込まれた形で彼は私の耳に唇を寄せた。

「……そろそろ、レオンより俺を構ってくれないか? 愛しいアマーリア」

ふふっと笑いが漏れた。この話は終わり、と宣言したのね。話題の転換を狙うにしても、ちょっと強引じゃないかしら? 腕の中で振り返り、向かい合った彼の鼻に指を置く。軽く押してみた。

「一晩中、ぎゅっと抱いていてあげるわ」

レオンに押し付ける前に止めてくれたこと、感謝している。でもお礼を言うのは違う気がした。彼が茶化したのは、その意味もあるのよね……きっと。

「レオンにするように、俺も愛して離さないでくれ」

「愛しているわ、ヘンリック」

初めて、彼を敬称なしで呼んだ。だって私の大切な夫だもの。二人の時くらいいいわよね。