軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

514.王太后陛下は引退したい

帰ってきたヘンリック様によれば、二人はきちんと交流できたみたい。カールハインツ様やローレンツ様と過ごし、笑顔で戻ってきた。食事のあとの団欒で尋ねたところ、カールハインツ様の側近探しだった。

ローレンツ様は騎士団に入るつもりで、普段から見習いと一緒に過ごしている。側近もそこから選んだと聞く。確かに二人と年齢がずれちゃうわよね。幼馴染みだったら問題なく馴染んだかもしれない。

カールハインツ様は婚約者も決まり、すでに王位に就いている。結婚前に側近を決めて、足場を固める必要があるらしいわ。ヘンリック様の説明が加わり、納得した。まだ若いのにお気の毒だわ。そう思っても口に出せないけれど。

「王太后陛下の口添えもあったらしい」

他人行儀に呼んだヘンリック様は「仕事の話だからな」と付け足した。言い分けているのね。頷いて先を促す。

「王太后陛下は、まだ国王陛下の決裁を手伝っておられる。それをすべて譲り、外交関係に専念したいと考えているようだ。内政関連は俺も手伝えるが、外交は得意ではない」

マルレーネ様は早い段階で、ご自分の仕事も陛下の側近に譲りたいのではないかしら。若い王は侮られる。ましてや母親が近くにいて、外交の際に口添えしていたら? 通訳も兼ねて情報を囁くなら……母親より婚約者か秘書官の方がいい。

立派に立つ息子から手を離す準備を始めたのよ。難しい話だと思ったのか、レオンはふんふんと頷いている。絶対に意味はわかってないわね。でも大人の真似をしたい年頃かも。

「レオン、猫の絵を描いて」

気を利かせたユリアーナが誘う。ちらりと振り返るから、微笑んで頷いた。絨毯の部屋を走って、向かい側でしゃがみ込む。正座の足を両側に崩した形で座り、そのまま前屈みになる。子供の体は柔らかく、驚くような格好で絵を描き始めた。

足とか腰とか……平気なのがすごいわ。鼻歌が聞こえて、クレヨンで色を塗るレオンの手が動いた。ユリアーナとオイゲンは並んで座り、クッションに寄りかかる。お父様はレオンの隣に移動し、同じ姿勢を真似しようとして挫折した。無理だと思うわ。

踊るカカシみたいよ? ふふっと笑い、続きに耳を傾ける。

「では、ティルビッツ侯爵令嬢が外交を?」

「もしくは側近の誰かだ。どちらにしても、すぐは無理だろう」

まだまだマルレーネ様の出番は終わらない。でも先が決まっていたら、頑張れるでしょう。そんな話をしてゆったり過ごし、寝室へ戻った途端……小さな事件が起きた。