軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

510.ユリアーナは清楚系が似合うのね

お昼前に到着したオイゲンは、軽く挨拶すると箱を取り出した。ティール侯爵家からの贈り物みたい。お祝いの品なので、私が直接受け取ってお礼を告げた。

手に乗る小さな箱は、その割に重い。控える侍女のリリーがさっと受け取った。マーサはレオンの脇に控えている。この頃、気になることがあると走り出したりするの。注意されても忘れちゃうのは、好奇心旺盛な証拠ね。

「ハンナ様はお元気かしら」

「はい、その……父と仲良くて、あの」

言いづらそうに言葉を探すオイゲンは珍しい。はきはき喋ると思っていたわ。首を傾げたら、一つ息を吐いて気持ちを落ち着けた彼が口を開いた。

「懐妊したそうです」

「そう、おめでたいわ……え? ご懐妊?」

「医者の診察を受けたのですが、おそらく間違いないと」

ハンナ様っておいくつかしら。長男のゲレオンが成人する頃だから……十八歳で産んでいたら三十代後半? まだ平気だったわ。お子さんが大きいと、つい心配になるの。

「私からも懐妊祝いを用意しましょうね。何がいいかしら」

楽しみが増えたわ。ここで意外な追加情報が入る。シラー男爵家も懐妊の可能性があるとか。まだお医者様が断定できないけれど、ほぼ確実らしい。あらあら、皆様のお祝いだらけだわ。

にこにこと聞いて、お祝いを考える。品物選びはフランクに任せましょう。頂いた物との兼ね合いもあるでしょうし、私は一筆添える程度がいいわね。

ひょこっとユリアーナが顔を見せた。お母様のワンピースを着用している。肩にショールが揺れた。薄いピンクに重ねた紺色レースが、細かな模様を浮き立たせる。スカーフのように首元に巻いて、虹色の貝ブローチで固定されていた。

「お姉様、もういい?」

「もちろんよ。とても似合っているわ、ユリアーナ」

「あにゃ、きれぇ」

レオンも素直に褒めた。実際、色合わせがいいのよ。水色とピンク、紺と水色、ピンクと紺。すべてが調和して喧嘩しない。清楚系の装いだった。

「すごく似合っている。綺麗だ、ユリアーナ」

オイゲンの褒め言葉は直球で、貴族らしい洒落た言い回しはしない。でも性格の実直さが出ていて、好感が持てた。

微笑んで二人を送り出す。オイゲンは離れで昼食を摂るの。以前からの習慣と同じね。そういえば、エルヴィンへ王宮からお誘いがあったのよ。まだ正式な招待ではないけれど、断れないでしょう。

側近候補の件、まだ諦めていないのかも。オイゲンも一緒に行ったらどうかしら。彼は長男ではないし、侯爵家だから家格も問題ない。以前も思ったけれど、エルヴィンは跡取りだから候補から外してほしいの。彼自身が望むなら構わないけれど。

「おかぁしゃま、これ」

描いた絵を差し出すレオンは、顔に赤い色が付いていた。

「顔をぶつけたの? 痛くない?」

「へぇき」

顔についた色をハンカチで拭うと、色が移った。鼻に近づけて匂いを確認し、クレヨンだと判明する。ほっとした、青や緑ならすぐ気づいたけれど、赤なんだもの。

「私達もご飯にしましょうね」

ハンカチで赤をすべて拭い、マーサの用意したタオルで重ねて拭き取る。ぶるると首を横に振ったレオンと手を繋ぎ、ヘンリック様の執務室へ向かった。声がけしないと拗ねちゃうわ。