軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

504.駆けつけたい ***SIDE王太后

アマーリアが産気づいた。連絡が入って、ヘンリック殿が馬を走らせる。勝手に動けない立場を、これほど憎んだことはないわ。近くで、母か姉の代わりに手を握ってあげたかった。

生まれてくる子を受け止め、立派だったと褒めてあげたい。頑張るアマーリアの額の汗を拭ったり、水を飲ませたり。ああ、なぜ私は王太后なのかしら。王妃の頃からそうだけれど、本当に私が望むことは叶わないのね。

「母上、一緒に贈り物を選びませんか」

気遣ったカールハインツに誘われ、家族で寛ぐ居間へ移動する。すでにルイーゼが裸足で走っていた。この部屋で靴を脱ぐのは、ケンプフェルト公爵家を真似したの。リースフェルトは不明だけれど、バルシュミューデは取り入れたらしい。

豪華なソファーセットも壁際に片付けた。部屋の中には、段差を設けている。ここに柔らかな絨毯とクッションを置いて、椅子の代わりとして使う。疲れたら寝転がることもできて、本当に快適だわ。

走り回るルイーゼを、ローレンツが追いかける。我が儘で扱いづらい妹を嫌った息子達も、今ではすっかり仲良しだ。これもすべてアマーリアの齎した変化だった。興奮して走るルイーゼをローレンツが捕まえる。一緒に戻ってきて、当たり前のように隣に座った。

ローレンツとルイーゼに挟まれ、正面には立派な王になったカールハインツがいる。私は恵まれているのよ、ないもの強請りはやめましょう。カールハインツが広げたのは、商人達が持ち込んだカタログだった。この頃は商品を事前に選べるよう、カタログを発行するのが流行している。

色や形、大きさなど。様々な情報が記されていた。もちろん、値段はない。このカタログは出入りする貴族の家に預けるから、値段を書いたら贈り物の価値がバレてしまう。ある程度ランク分けするらしいが、気分のいい話ではなかった。

値段を伏せたカタログを眺め、気に入ったものをいくつか選び出す。ルイーゼはお菓子の絵に目を輝かせた。出産直後だから、食べ物はやめましょう。

「お茶をご用意しますね」

「ベッティーナ夫人を残して、全員下がっていいわ」

声をかけた母に頷き、侍従や侍女を下げる。それからお茶を淹れた母を手招きした。

「お母様も一緒に選んで」

「ばぁば、抱っこ」

ルイーゼは、甘える相手を見極めるのが上手ね。自分に甘い祖母が座ると、その膝によじ登った。用意されたカタログを一緒に眺め、お茶を飲んで笑い合う。

やっぱり赤ちゃんが使うものを中心に、アマーリアが必要になる物も。それからレオンやヘンリック殿にも何か贈りましょう。だって、周囲に気を配るアマーリアならそうするはずよ。