軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

487.レオンの気持ちが嬉しい

三日後にマルレーネ様が訪問すると聞いて、フランクは指示を出した。屋敷内をぴかぴかに磨くらしい。イルゼも忙しいはずなのに、私の世話があるからと付き添った。この屋敷の使用人は数が多いから、リリーやマーサは残っている。

「通る予定の廊下や使うお部屋だけでいいのではなくて?」

一部の使用人が外壁や屋根まで確認していると聞いて、つい口を挟んだ。イルゼの反論によれば、王族が来るのに掃除をしないのは怠慢らしい。万が一にも粗相があれば、主家に恥をかかせる、と。そこまで気負っているなら、任せるわ。

「おかぁしゃま、ぼく……いっちょ」

一緒の部屋にいる。お絵描きの道具を持って走ってきたレオンは、床に座ろうとした。慌てたマーサがソファーへ導く。これは私のせいね。絨毯の部屋以外で座らないよう、教えなくては。

「皆はどうしているの?」

口にしてから、シュミット伯爵家と付け加えるべきだった、と反省する。でもリリー達の方が 上手(うわて) だった。

「ティール侯爵令息様がまたお戻りになるそうで、皆様お買い物に出掛けられました」

詳しい説明を聞いて納得する。オイゲンは数日ではなく、一週間ほど実家に戻る予定だった。そのため、皆で一緒に食事をして贈り物をするんですって。

外出できない私へのお土産も買ってくるという。レオンも誘ったけれど、お母様が行かないなら残る、と首を横に振ったとか。知らない間にそんな話が出ていたなんて、驚いたわ。

「レオンは出かけなくてよかったの?」

「うん、おかぁしゃま、いっちょ」

私と一緒がいいと笑うレオンに、後悔の色はなかった。ならばいいわ。赤ちゃんが生まれて身軽になったら、一緒に出かけましょう。皆が心配するから、お腹が大きいうちは外出できないもの。

「マルレーネ様がいらっしゃるなら、ローレンツ様やルイーゼ様もご一緒だといいわね」

「うん!」

我が家の温室は、つい先日完成した。引き渡しの日はまだで、来週なの。マルレーネ様に中をご覧いただくことは可能かしら。

「奥様、おやめになった方がよろしいかと」

イルゼに止められた。彼女の話では、ハンスを始めとする庭師が花の準備をしている。珍しい木や花を植える前に、主人や客人に見せるのは誇りが傷つく。

私の中では「新築住宅に家具が入る前のお披露目」くらいの感覚だった。でも彼らにとっては「家具や小物が並んで、初めてお披露目」らしい。その感覚でいくと、花がない温室は非公開なのね。

「わかったわ。ありがとう」

やっぱりお部屋の掃除は必要だったみたい。フランク達は忙しくなるから、後で労わないといけないわね。