軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

481.手慰みに組み紐を作るつもり

徐々にお腹が大きくなり、最近は立ったり座ったりの動作が辛くなってきた。以前に注文した品が揃ったと聞いて、私は頑張って商談室へ向かう。

ここは外から来た商人や仕立て屋と話すための部屋よ。贅沢なことに、部屋の余っている侯爵以上の貴族は、こういった商談室を作るの。侮られないよう、そこそこの家具を置いて……でも貴族の客間よりランクを落とす。見栄で生きる貴族らしい無駄ね。

商談室では、仕立て屋の奥さんが待っていた。運んでもらったのは、組み紐の材料だ。色や太さが豊富に揃っている。組み紐は、前世で作った記憶があった。でもこの世界では見たことがなかった。目的の違う飾り房用の紐を用意してもらったの。

木組みは、庭師のハンスにお願いした。絵を描いて説明したが伝わらず、近くにあった木材の切れ端で説明し直したのよ。なぜ、あの絵で伝わらないのかしら。詳細に描いたのに?

ともあれ、揃った材料に私は頬を緩める。手に取ると、絹特有の柔らかくしっとりした感触があった。

「ありがとう、とても素敵だわ」

組み紐なら、部屋の中で作れる。髪紐や飾りに使えるし、大量にあっても邪魔にならなかった。何より、感謝の気持ちを伝えるのに適していると思ったの。その人をイメージした色や太さで、一つずつ心を込めて作る。その作業は楽しそうだわ。

奥さんは完成品に興味があるようで、次のマタニティー納品時に見せると約束した。

リリーに手を引いてもらい、後ろからイルゼに押してもらう。ようやっと立ち上がり、ふぅと大きな息を吐いた。椅子と違い、ソファーは低い。立ち上がる時に力が必要だし、お腹も圧迫するわ。今度は椅子を用意してもらいましょう。

「紐は部屋に運んで頂戴」

侍従が箱を持ち出すのを見送り、廊下に出た。底の平らな靴で、躓かないように……。

「おかぁしゃま! にぇこ、してちた」

猫の世話で離れていたレオンが、大喜びで走ってくる。手を繋いでいたユリアンは、解けた手を追った。私の前にリリーが立ち、衝突回避の準備をする。でも……ユリアンが追いついたわ。

「こらっ! レオン、リア姉様に抱きついたらダメだ」

「どちて?」

「赤ちゃんが痛い思いをするから」

意外にきちんとしている。レオンは無言で考え込み、ぺこりと頭を下げた。

「ごめんちゃい」

「いい子ね。次からは手前で止まってほしいわ、レオン」

「うん」

歩いて近づき、膨らんだお腹を眺めて指先を掴む。恐々と摘まむから、しっかり握った。

「ユリアンもありがとう」

「はい、リア姉様」

やけにお行儀のいい言葉遣いだわ。不思議に思ったら、視線がイルゼに向いていた。ふふっ、態度や言葉遣いを直されたばかりだもの。先日みっちり教育された弟は、どうやらイルゼ先生が苦手みたいね。