軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

477.最新の流行と安全の確保

皆を心配させないため、まだ大人しくすることにした。裾問題が片付くまで、出歩くと踏んで転びそうだし。ベルント経由で連絡する仕立て屋は、翌々日で訪問の手配をしたらしい。ヘンリック様の休日に合わせるつもりね。

「待たせてすまない」

雨を避けたお父様が家族を連れて合流し、服の話は置いて食事を始めた。最近はさっぱりしたものより、こってり系が美味しい。味覚の変化が激しいので、料理人も大変だと思うわ。やや色の濃いスープを、たっぷり頂く。

野菜は食感がダメで、肉や魚は匂いが受け付けない。パンもその日の体調次第だった。そのため、具材を細かく摩り下ろしたポタージュが主食なの。悪阻は長い人もいれば、すぐ終わる人もいると聞いた。早く落ち着けばいいのにね。赤ちゃんのいるお腹を撫でて呟いた。

「お姉様、ドレスを作るの?」

先ほどの話を小耳に挟んだユリアーナは、興味津々だ。年頃の女の子だもの。服を作るなんて聞いたら、同席したいわよね。気持ちはわかるけれど、マタニティーよ? 念の為、確認する。ゆったりして、締め付けない服を作ってもらうの。ユリアーナの想像するドレスとは違う。

「興味があるわ。見るだけならいいでしょう?」

「そうね。構わないと思うけれど、ヘンリック様はどう?」

「構わないぞ。なんならドレスを注文したらどうだ」

お金持ちは簡単に言うわね……と思ったが、今の伯爵家はお金があるんだわ。お父様を見れば、頷いている。

「だったら、エルヴィンやユリアン。オイゲンも作ったらいいのよ」

オイゲンは遠慮するが、問題ない。客人で家族だもの。一人だけ仲間外れにしたりしない。レオンにも尋ねれば、きょとんとしていた。服を作る意味が理解できていないようなので、皆とお揃いが欲しくない? と尋ねてみた。

「ほちぃ!」

「決まりね」

明後日の仕立て屋さんが楽しみだわ。マルレーネ様が巻きスカートを広めたから、新しい巻きスカートの布も選びたいし……!

「巻きスカートよ!」

飲み終えたスープ皿にスプーンを置いて、私は両手のひらを合わせた。まるで祈るような姿だけれど、私の意識は裾の改善に向いている。

「巻きスカートが、どうかしたのか」

ヘンリック様もまだ理解していないわね。

「短めのスカートで服を作り、巻きスカートで覆えば構わないでしょう? 裾を踏んでも、巻きスカートなら解けるから転ばないわ」

巻きスカートをキツく縛らなければ、するりと取れる。踏んでしまうが、転ぶよりマシよね。解けるまで足首は見えないし、最新の流行に沿った装いだった。早口で説明したら、驚いた顔で彼は頷いた。きょとんとしたレオンそっくりで、微笑ましい気分になる。

「一度確認してからだ」

現物を確認してから決める。ヘンリック様の譲歩で、安全な妊婦服への道が開けた。