軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

473.天使の抱っこは禁止みたい

夕方までに開封作業は終わらず、翌日へ持ち越しとなった。レオンは私の膝でお昼寝をして、今は目を擦っている。手を掴んでやめさせ、抱き上げた。途端に悲鳴が上がる。

「なに?!」

「奥様! そのような力作業はいけません。私共が……っ!」

マーサが慌てて手を伸ばし、レオンを受け取る。リリー達の悲鳴に驚いたのか、レオンは大人しく移動した。大丈夫と言いかけて、皆の厳しい目に肩を落とす。

「ごめんなさい、気をつけるわ」

しばらく抱っこは禁止ね。代わりに手を繋いだり、膝に座らせる時間を増やしたりしましょう。レオンは一人っ子状態で私を独占してきた。いきなりお兄ちゃんの役目を求められたら、赤ちゃんに反感を持つかもしれない。

嫌いになったら、皆が不幸だわ。レオンはマーサの腕からするすると降りて、私に手を伸ばした。

「ぼく、きししゃま、できる」

「そう? 小さな騎士様に守ってもらえたら、お母様も赤ちゃんも嬉しいわ」

「うれち?」

「ええ、すごく嬉しいの」

レオンと手を繋いで歩きながら、何度も同じ質問に同じ答えを返した。レオンがいて嬉しい、幸せでよかった、愛していると。微笑みを添えて伝える。四回も繰り返したら安心したのか、レオンは手を揺らして歩き出した。

まだ安定期前だから、皆はすごく心配している。流産が多いのもこの時期だから、気をつけないとね。安易に大丈夫を口にする癖をやめなければ、誰も信じてくれなくなりそう。

「ねこしゃ! みせゆ?」

「まだ赤ちゃんは出てこないから、見せられないわね」

「いちゅ?」

「いつ……収穫のお祭りが終わった後かしら」

収穫祭が終わって冬になる前に、生まれると思うわ。レオンはきょとんとしている。時間の観念は難しすぎたわね。

「すごく先よ。いっぱい寝て、お母様のお腹がこぉんなに大きくなってからなの」

繋いでいない左手で、お腹をふっくらと表現して見せる。驚いたレオンが「こぉん、にゃ?」と同じ仕草をした。ふふっ、可愛いわ。その大きさだと猫が生まれそうね。

「ええ、こぉんな大きさよ」

繰り返して教え、まだ生まれないと伝える。レオンはほっとした様子だった。もしかして、もう赤ちゃんと張り合っているの? こういうのって、本能的な行動なのかしら。

「お母様も赤ちゃんも、レオンを大好きよ。守ってね、小さな騎士様」

「うん」

また歩き出したレオンは、繋いだ手を揺らす。一緒に揺らしながら、ふと足元の靴に気づいた。以前、散歩用に作らせた靴を履いている。靴底が平らで、転びにくいから楽なの。この靴をもう何足か、注文しなくちゃ。しばらく愛用することになるわ。