作品タイトル不明
472.開封は幸せを噛み締める作業ね
たくさんの贈り物を、手分けして開封する。その作業にも個性が出るのね。開封がゆっくりなのはお父様、エルヴィンは早いけれど丁寧なの。ユリアーナは包装紙を綺麗に開けて、畳んで保存するタイプね。
ユリアンは言わずもがな、勢いよく破いて放り投げる。危険だから投げるのを禁止したら、脇に積み始めたわ。その包装紙を黙々と片付けるのがオイゲンだった。
侍従達が慌てて包装紙を回収し、外へ運び出す。箱もそうだけれど、なんだか勿体無いわね。綺麗に包んでくれているんだもの。フランクはそれぞれから報告が上がるたびに、手帳に記載していく。
結局、私だけが何もせずに座っているのよ。レオンは皆の間を走り回り、笑顔を振りまいた。時々、レオン宛の荷物も紛れていて、大喜びで運んで見せる。今抱えているぬいぐるみもそうね。
あのぬいぐるみ、贈り主はヘンリック様じゃないかと思うのよ。後ろの絵本はフランクかベルント? 新しい上着はイルゼでしょうね。さりげなく混ぜて、ヤキモチを軽減してくれていた。
「これも、ぼくの!」
「まぁ、素敵な……何かしら」
首を傾げたのは、利用方法がわからないから。紐のついた棒……。
「釣り竿だと思う。池も綺麗に直したから」
釣りができる? ということは、プレゼントの贈り主はエルヴィンね。自分で暴露しちゃう辺り、なんとも可愛いわ。お礼を言うとバレたのを気にするから、さり気なく褒めておきましょう。
「釣り竿なのね。レオン、落ち着いたら池で釣りをしましょうか。きっとお魚が釣れるわ」
「おしゃかな! やたっ!」
興奮して振り回すので、危険だと教えた。針はまだ付いていないけれど、誰かを叩いたら痛いでしょう? レオンは慌てて釣り竿を置いた。
「嬉しいのはわかるの。お外へ出たら振り回していいわ」
「うん」
知らないことは一つずつ、丁寧に教えていく。レオンは素直に聞いてくれるから、安心だった。釣り竿は壁際へ立て掛けておく。見える場所に置かないと、プレゼントしたエルヴィンも、貰ったレオンも気にするもの。
「これは何かしら」
ユリアーナが開封した袋の中身を引っ張り出す。長細い帯に見えた。ベルトのような……。
「どなたから?」
「これは……王太后陛下の専属侍女になられた前侯爵夫人からです」
確認したリリーの言葉に、頷く。手にとって確認し、品物の使用使途に気づいた。
「これ、腹帯ね。お腹が大きくなったら使うのよ」
前世でも見たことがある。お腹を支える帯で、妊婦には必須アイテムよ。経験者は違うわね。ありがたく使わせていただくわ。プレゼントを開けるというより、幸せを噛み締める作業ね。