作品タイトル不明
467.これは準備が早過ぎるわ
お昼を過ぎて、レオンのお昼寝の時間が近くなる頃、ようやくお父様が顔を見せた。エルヴィンとオイゲンが、大きな荷物を運んでくる。布で包んだそれは……予想外のお祝い品だった。
「これ……」
「お腹が大きくなれば、これが必要だと思ってな」
「ありがとう、お父様」
ひとまず受け取ったが、かなり気が早い。長くて綿がみっちり詰まった抱き枕だった。妊婦はお腹が大きくなると、仰向けに眠れなくなる。横を向くがごろんと転がって、バランスが取りづらいそうよ。
お母様がかつて使っていた枕の形を思い出しながら、皆でお裁縫をしたのね。ユリアンやユリアーナは欠伸をしている。朝食後も顔を見せなかった理由は、予想外だったわ。
今日のレオンの鍛錬ごっこも、オイゲンが担当した。この辺りで、何かしているのかも? と気づけばよかった。レオンは「うわぁ」と歓声を上げて喜ぶ。
可愛い花柄の生地を使っているけれど、これは何だったのかしら? 昨日の今日で、どうやって生地や綿を集めたの。疑問が浮かんだ。素直に問えば……お父様はあっさり答える。
「布は未使用のテーブルクロスで、綿は予備の枕から抜いた」
「……そこまで急ピッチで作らなくても、間に合ったと思う」
腹部を撫でて見せる。まだ膨らんでいないし、時間に余裕はあった。はっとした様子で、お父様は頬を染める。
「すまない、気が急いてしまって」
「いいえ、気持ちはすごく嬉しいの。でも寝不足はやめて。体調を崩したら大変よ」
用意しようと思う気持ちはありがたいし、お父様の考えたプレゼントはちゃんと使う。でもユリアーナなんて、話の間にうとうと舟を漕いでるわ。声をかけて、ソファーで休ませた。ユリアンも「もうダメだ」と一言、ユリアーナの隣で寝てしまう。
夕方になる前なのに、ヘンリック様の帰宅が知らされた。迎えに出ようとしたら、これまた使用人に止められる。廊下に出たところで、慌てたヘンリック様が駆け寄った。
「アマーリア、動いてはダメだ。休んでくれ」
「動かずにいると、赤ちゃんの生育に影響が出るわ。散歩や日常生活は問題ないのよ。気持ちはありがたいの。お医者様の指示には従うから、ある程度自由にさせて頂戴」
「……わかった」
イルゼがほっとした顔になる。レオンはきょろきょろと大人の顔を眺め、肩につくほど首を傾けた。
「おとちゃま、めっ! なの?」
「めっ、だけど……いいのよ」
意見はしたけれど、怒っているわけではないの。そう伝えれば、レオンは「ふーん」と気のない返事をした。これは理解していないわね。話を逸らしてしまいましょうか。
「ヘンリック様やお父様も手伝って。まだお祝いの品を開けていないのよ」
王家や公爵家に遅れて、他の貴族家からもお祝いが届いている。大量に積まれた箱が崩れたら危険、と私は触らせてもらえなかった。責任を持って開封して、リストを作ってね。