軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

460.三歳のポーズがお気に入り

ベルントを伴い帰ってきたヘンリック様は、着替えの間に話を聞いたらしい。食卓で、レオンに尋ねた。

「レオンは何歳になったのかな?」

「ぼく、さんちゃい!」

ピースになった手を突き出し、左手で指を一本起こして修正する。賢いわね。

「すごいな、よくできた!」

ヘンリック様の手放しの褒め言葉に、レオンは嬉しそうに笑って「きゃぁ!」と甲高い声を上げた。勢い余ったのか、私を振り返って抱きつく。ぎゅっと抱いて左右に体を揺らしたら、ヘンリック様がじっと見ていた。その目は……羨ましいのね?

声に出さず「あとで」と唇を動かした。こくんと小さく縦に頭が揺れる。レオンは再び、今日の武勇伝を語り出した。基本はお昼の話と同じよ。鍛錬ごっこの成果から始まり、パンを捏ねたこと。焼き上がるまでにお菓子の型抜きをして、指で三歳を示す仕草をした。

やっぱり指はピースとまっすぐ突き出した薬指。小指に釣られちゃうみたい。それを左手で直し、「さんちゃい!」と胸を張った。お父様は涙ぐみながら拍手し、エルヴィンは「よく覚えたな」と感心している。双子も惜しみなく褒めた。オイゲンに立派だと言われ、嬉しそうに笑う。

レオンは褒められてより伸びるタイプだから、この環境は居心地が良さそうね。

「すごく上手だったわ。レオンのパンを頂きましょうか」

「この形は私なのよ」

パンの形で、誰が成形したかわかる。ユリアーナはバターロールのように巻いた形をしていた。レオンは丸くふんわりした形だ。それぞれに味わい、美味しいと頬を緩める。

「これ、ぼくの」

大きな丸いパンを手で千切り、レオンはヘンリック様に差し出す。私はすでにもらって頬が膨らんでいた。ちょっとパンが大きかったのよ。ヘンリック様は差し出されたパンの大きさと、私の頬を交互に見てからパンを齧った。

貴族は口に入る大きさに千切り、一口で食べる。その慣習を無視して、食べやすい大きさに齧った。指先に残ったパンを、レオンは不思議そうに眺める。自分の顔の近くに運び、じっくり見た後……また差し出した。ヘンリック様が残りを食べる。今度はなくなった。

指を眺めた後、レオンは楽しそうに笑った。笑いのツボがわからないけれど、楽しそうね。私もそうやって食べたらよかったかも。口の中のパンがようやく飲み込めたので、次は齧ろうと決めた。

「おかぁしゃま、あーん」

齧るわよ……と思ったのに、一口で食べ終わる大きさだった。これなら食べられそうなので、口に入れてもらう。先ほどのヘンリック様の仕草で学んだのかもしれないけれど、妙に残念な……負けたような気がするわ。