軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

448.武闘会優勝者の意外な素顔

こちらも結構時間を掛けたけれど、それでもオイゲンはまだ戻らなかった。いつの間にかユリアンが外で話をしている。

「ユリアン?」

「ああ、ごめん。リア姉様、ちょっと時間をくれる?」

オイゲンのところに突撃して邪魔しなければいいわ。そう思って許可した。扉の外で誰かと話をしているのよ。ユリアンは開いた扉の隙間から見えるが、相手は扉に隠れた状態だった。騎士の一人かお店の人でしょう。

しばらくすると、ユリアンは扉を大きく開け放った。

「どうぞ」

招き入れる様子に驚いていると、恐縮しきりのバルツァー子爵とシラー男爵夫妻だった。さらに別の青年も……この人、優勝者じゃないかしら。

「失礼致します」

ヘンリック様が一歩前に出る。代わりに抱いていたレオンを私に渡した。両手を伸ばすレオンを受け取り、重くなったわねと微笑む。ずっしりした手応えは、成長の証で嬉しいわ。まだ抱っこしていられるよう、私も鍛えなくちゃね。

改めて自己紹介をした三人の最後に、優勝者の青年が続いた。

「先ほどは名乗らず失礼致しました。バルツァー子爵家嫡男ハンスと申します」

先ほどの挨拶の時、彼が膝をついて顔だけ上げたのは、子爵令息だったから? 名乗らなかったのは、聞かなかったからでしょう。私達が呼んだのは、健闘した決勝戦の二人よ。戦いの間も家名は出さなかった。貴族相手だから、と忖度される事態を嫌ったのかも。

「構わん、聞かなかったのはこちらだ」

すでにどちらの家も謝罪を終えている。この場にいないヘルダー伯爵家も、子供達への処罰は軽いものに変更された。私はそう聞いているわ。だから、過去を咎める気はなかった。

オイゲンが友人達を見つけたなら、両親がいるのも当然でしょう。家族で観戦し、子爵家嫡男ハンスの応援をしたのよ。

「リア姉様、向こうに合流できないかな。ご家族が心配してるからさ」

うぅん、惜しい。言葉遣いは前半は合格よ。最後の「さ」が余計だったわ。苦笑いしてヘンリック様の袖を掴む。

「どうかしら」

「先に連絡を入れてからだな」

もっともな返答があった。オイゲンはティール侯爵家の次男であり、隣の部屋では彼が最高位だ。それなのに勝手に乗り込むなんて、失礼よね。ユリアンは伝令役を買って出て、大喜びで向かった。

普通は騎士の仕事よ? 変な子ね……ああ、そうだったわ。騎士になりたいと言っていた時期もあった。騎士の代理なら、さぞ嬉しいでしょう。オイゲンが心配なのもあるかも。ユリアーナへの接し方をみても、不器用だもの。友人の助太刀に行く気分かもしれないわ。