作品タイトル不明
449.過ちを認めて許し合う
オイゲンの了承を経て、私達は合流することになった。隣の部屋は個室で狭いため、観戦していた部屋を使う。広場に面した窓辺の席は、店主の指示で手際よく模様替えされた。
元々、複数のテーブルが置かれる部屋らしいから、元に戻ったとも言えるわね。四角いテーブルを並べてくっつけ、長テーブルのように形作られた。奥に私達、扉側に子爵家と男爵家が座る。
「オイゲン、話はできたの?」
「はい。デニスとギードには、巻き込んだお詫びをしました」
すっきりした顔で、オイゲンはそう返した。名を呼ばれた二人も、頷く。オイゲンが退場した後に騒動を大きくした詫びを、彼らから聞いたそうよ。
「息子の不祥事をお許しいただき、お礼にも伺えず失礼致しました」
子爵の詫びに、ヘンリック様は片手を上げて首を横に振った。
「構わん。詫びに来なくて良いと伝えたのは、俺の方だ」
そんなやりとりがあったのね。嫡子の話だから、当主が担当するのが普通なのかも。貴族の常識に疎い自覚があるので、曖昧に笑みを浮かべて流した。余計な一言が、首を絞めそうな気がするの。
「ケンプフェルト公爵令息様、以前は失礼な口を利いてすみませんでした」
「僕も反省しています」
子爵家のデニスと、男爵家のギード。二人の謝罪にも、レオンは反応を示さなかった。自分の腕を動かして握ったり離したり……揉んでいる。筋肉が動くのが余程衝撃的だったのね。
それと……たぶん、ケンプフェルト公爵令息を理解できてないわ。話す対象が自分だと認識していない。
「レオン、あの二人の話を聞いて。前に意地悪してごめんなさい、ですって」
「いぃよ」
にこっと笑うレオンは、ご機嫌で手を振った。驚いた顔をする両家に、ヘンリック様が説明を付け足す。貴族社会に話が広まり、いろいろと不都合が出ているだろう。そちらも解消する手配を始めた、と。
国を動かしていた人は違うわね。そんなことまで気を配るだなんて。私はまったく気づいていなかった部分よ。
「我が息子へのご祝儀も、誠に有り難く……」
「ああ、貴族の出身だろうとは思ったが、縁は繋がるものだな」
剣術の得意な優勝者が、レオンに暴言を吐いた子の兄だった。不思議な縁だわ。そういえば……ヘルダー伯爵家は一緒ではないのね。まあ、伯爵家と子爵家の間には大きな格差がある。別の場所で観戦していたのかしら。
「ご存知だと思いますが……」
バルツァー子爵は、まるで私の考えを読んだように切り出した。ヘルダー伯爵家のご子息のその後について。何も知らない私には、驚くべき内容だった。