軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

444.鍛えて強くなりたい夢に

娯楽として観戦できるイベントだったら、安心して観ていられるわ。レオンは興奮して椅子の上でぴょんぴょん跳ねる。ヘンリック様が手を差し出した。

「おいで、肩車をしよう」

「やた!」

大興奮のレオンは、視線をステージに固定したまま抱き上げられた。首を跨ぐ形で肩に座り、高くなったと大喜びだ。頭をぶつけない天井の高さがあってよかったわ。バルコニーにも出られるが、万が一を考えて室内観戦とした。

興奮したレオンが暴れて、肩車から落ちる可能性があるでしょう? レストランの前は花壇程度で、石畳の広場の端に繋がる。落ちたら、石の上なのよ。

「あれ! おとちゃま、こっち」

「左か」

肩車したヘンリック様の首を、両手で掴んでぐいっと左に向ける。操縦桿じゃないのだから、無理をしちゃダメよ。しっかり言い聞かせた。首を違えたりしたら、しばらく痛いもの。

「交代しますが」

「いや、構わない」

いろいろ気にして、騎士が交代を申し出る。ヘンリック様は首を横に振った。首が動いたことに、レオンは大笑いして喜ぶ。エルヴィンとお父様は座って観戦し、お茶を楽しむ余裕がある。双子とオイゲンは窓辺に近づき、食い入るように見つめた。

「すごいな……いつか俺も強くなって、兄上に認められたい」

オイゲンが口にした言葉は、彼の夢ね。以前もそんな話を聞いたわ。ユリアーナは「あの筋肉すごい」と違う方向へ感心している。お父様を始めとして、我が家の家系は筋肉がつきづらいの。

マッチョレベルまで鍛えた体は、あまり見たことがないかも。騎士達の中には鍛えてムキムキの人もいるけれど、鎧で隠れるから分かりづらいのよね。

「ぼくも! あぁふう、なる!」

あんな風になりたいの? 脳裏に浮かんだのは、鍛えたヘンリック様の体。それも裸体を思い浮かべてしまい、両手で頬を包んで隠す。赤くなっていない、わよね?

「鍛えるのは時間がかかる。コツコツと毎日頑張るんだ、できるか?」

「うん」

鍛錬ごっこの話をしながら、レオンは足を揺らした。靴は脱いだから問題ないとして……蹴られると危ないわね。

「レオン、お話しする時は足と手はこうよ」

ヘンリック様の頭の上に手を置いて、足もぶらん……。大きく頷いたレオンを、ヘンリック様が撫でる。レオンも頭を下げて、撫でられに行くの。可愛いわ。やっぱり写真が欲しい。でも、感熱紙みたいな板に焼き付ける程度の知識しかなかった。

現像の話になったらさっぱりだし、現代知識チートは無理ね。私も窓際に近づき、三回戦目が終わる瞬間を見届けた。木刀で殴られるのも痛そうね。