作品タイトル不明
434.ユーリア様も深刻そう
手紙には午後に伺うとあったので、午前中はレオンと過ごした。一緒に過ごして、たくさん動いたら午後はお昼寝してくれると思うの。ユリアンとオイゲンまで動員して、鍛錬ごっこを目一杯楽しんでもらった。
お陰で、お昼を食べながら舟を漕いでいる。抱き上げてベッドに運び、マーサに付き添いを頼んだ。私の部屋のベッドは、レオンのお昼寝用になった。レオンの部屋もあるけれど、おもちゃや服が置いてあるだけね。
「おやすみなさい、レオン。お母様はお客様の相手をするから、起きたらマーサと一緒に来てね」
「……うん」
この返事は覚えていない可能性が高い。ほとんど寝ているわ。マーサにも起きたら連れてきていいと伝えた。私がどこにいるかわからないと、レオンは泣きそうだから。教訓を踏まえて、居場所は知らせる方針にしたの。加えて、常に誰かが付き添えば安心よね。
「奥様、バルシュミューデ公爵家の馬車が到着なさいます」
門番から合図があったようね。屋敷の庭が広いので、到着まで時間が稼げる。その意味もあって蛇行する道にしているのかしら。もしかしたら、侵入者対策も兼ねていたりして。
足早に玄関へ向かい、裾を確認する。同行したリリーが、ぱっと身嗜みを確認して頷いた。大丈夫そう。
「アマーリア様、突然ごめんなさいね。ご迷惑でなかったらいいけれど。あ、これは手土産ですわ。私お気に入りの料理人が焼いたお菓子ですの。よろしければ、皆様で召し上がって」
「まあ、お気遣いありがとうございます。こちらの客間を用意しました。どうぞ」
パウリーネ様の時と同じ、奥の客間へ案内する。天気がいいので、庭が見える左側を選んだ。濃色の家具に、淡い緑の絨毯が映える。ユーリア様は素敵と誉めてくださり、家具の職人を聞き出した。お世辞ではなく、本当に気に入ったみたいね。
「アマーリア様だから許してくださると思うけれど……」
最近、我が家を訪ねてくるお客様は、言いづらそうに切り出す。全部ユリアーナに関することなのが、驚きね。
話を要約すれば、ユリアーナに申し訳ないと謝りにいらしたの。ランドルフ様が以前、ユリアーナに惚れているような素振りを見せた。ユリアーナも満更ではなさそうで、ユーリア様は賛成していた。ところが先日、王弟殿下のローレンツ様の発言があったので、帰宅してランドルフ様に確認したんですって。
まだ好きなら、奪われてしまうわよ……と。その場では、王族の立場を考えて言えなかったはず。そう思ったのに、けろりと「いいと思う」と返したとか。どうやら恋愛の好き、ではなかったようね。