軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

426.あの子はそんなに弱くないわ

冷えてしまった紅茶を半分ほど頂いて、お父様を見送った。どう話そうかと悩んでいたから、私から話すと伝える。あの子はバカじゃないわ。きちんと説明すれば理解してくれるし、まだローレンツ様を愛しているとは思えない。

一緒に過ごした時間の長いオイゲンなら、まだわかるわ。彼と見つめ合って、顔を赤らめていたし。互いに意識していたと思う。オイゲンは実家に戻る際、話を聞いて「絶対に待っててくれ」と言い残した。

順当に考えれば、オイゲンと結ばれるのが無難だわ。お父様は肩を落として帰って行き、腕を組んだヘンリック様と寝室へ戻った。すでに入浴は済ませたので、このまま休める。ベッドに足を入れたヘンリック様は、迷いながら小声で尋ねた。

「嫌な話だっただろう?」

「そうね。愉快ではないけれど、大切なお話だわ。王家も公爵家も、実家も巻き込みかねない騒動の芽を摘んでくれてありがとう。言いづらかったと思うわ」

「できれば、言いたくなかった」

フランクに部屋へ残るよう告げたのは、心が挫けないように……かしら。親とも慕う厳しいフランクの目があれば、公爵として正しく振る舞える。そこまで頑張ってくれた夫に、何を言うことがあるの? 文句なんてない。

きちんと視線を合わせて、正面からお礼を告げた。ほっとした様子で、ぽつりと本音をこぼす。今までは誰にも言わずに呑み込んだ本音を、こうして私に漏らしてくれるのは、信頼よね?

寝ているレオンを起こさないよう、回り込んでベッドの端に座る。ヘンリック様の頭を引き寄せ、胸元に押し付けた。背中をゆっくり摩る。

「私は疎いから、心配させてごめんなさいね。でも……あなたが補ってくれたのが嬉しいの。大好きよ、あなた」

鼻を啜る音と、少しだけ濡れた寝着の胸元。すごく怖かったでしょう? 私に嫌われると心配したかもしれない。大丈夫よ、善意で話したあなたを責めたりしない。

落ち着くまで背中を叩いてから、彼が横になるのを見届けた。微笑んで頬に唇を寄せ、家族のキスを贈る。

「アマーリア」

「今夜は良い夢を見て。何も心配いらないわ。ユリアーナは賢いから理解してくれるもの」

立ち上がって回り込み、いつもの位置でベッドに座った。足を入れて横を向き、もぞもぞと動くレオンを引き寄せる。その先で見つめてくる青い瞳へ、微笑んで告げた。

「愛してるわ、あなた。私を信じて」

朝になって、話をすれば解決するわ。請け負った私に、ヘンリック様の眉尻が垂れる。そのまま目を閉じた彼の整った顔を見ていたら、私もいつの間にか眠りに落ちていた。