軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

422.エルヴィンを口説くようです

バルシュミューデ公爵家の跡取りであり、今は留学中のローラント様が側近に内定した。私はその話に首を傾げる。

「無知なので教えてくださる? 後継である未来の公爵様が、側近になれるのかしら」

公爵家としての仕事もあるはず。領地の管理や領民の嘆願を受けるので、忙しいと思うわ。素直に尋ねたら、マルレーネ様は微笑んでヘンリック様を示した。

「あの方も先代王の側近よ」

言われてみれば、本人の認識は別として事実上は、仕事を手伝う側近だった。

「それから、私も」

マルレーネ様は苦笑いしながら、ご自分の胸に手を当てた。王を支えるために働く人、そう考えれば側近は高学歴の必要がある。少なくとも、王の代行ができるくらい優秀でなければ、困る。

「ローラント様は承諾なさいましたの?」

パウリーネ様はユーリア様に話を振った。息子のことは、母親に聞くのが正しいわね。ユーリア様は巻きスカートの皺を手で直しながら、笑顔を見せた。

「ええ、そのために国外へ留学させたの。実はカールハインツ陛下とは昔から仲が良くて、外交面で力になりたいんですって」

立派な覚悟と実行力だわ。感心しながら頷いた私は、はたと考え込む。真面目すぎるエルヴィンが、国王陛下の側近? 無理じゃないかしら。緊張して話せなくなりそう。心配しながら、男性陣が盛り上がる方向へ目をやり……固まった。

なぜ、エルヴィンがカールハインツ様と並んで座り、肩を叩かれているの? すごく親しそう。お父様は夢中になって何かを語っている。あれは以前、私にもやらかして怒ったやつね。自分の専門分野になると、すごく饒舌になるの。

エルヴィンに緊張した様子はなく、打ち解けているように見えた。あれなら大丈夫かもしれない。マルレーネ様を始めとする王家の方々の 為人(ひととなり) を知っているから、変な不安はなかった。虐められるとか、奴隷のように働かされるとか。そんなことは思わない。

フォンを持つ伯爵家だから、侯爵以下の家に絡まれる心配もないし……あら? 意外といけるんじゃないかしら。

「私はエルヴィンが良ければ、構いません。父も同じように答えるかと」

「そう! よかったわ、カールハインツが自ら口説くと言って。今日も朝から張り切っていたの」

……誰かと間違えてないわよね? そんなに接点なかったはずなのに、どうして。いろいろ思うところはあれど、悪い話ではない。シュミット伯爵家の領地は、ケンプフェルト家から派遣した管理人がしっかり守っている。領地を管理人に預け、王都で仕事をする貴族も多かった。

あとは本人の気持ち一つ。見守るのが姉の役割よね。