作品タイトル不明
411.やはり家族が揃っていないとね
お葬式ではないので、黒以外で……私達は濃灰色を選んだ。お父様達が紺色にすると聞いたのよ。
「おしょろ!」
「ええ、お揃いね」
「おしょ……そ、ろぃ」
口の中で何度か言い直す姿に、偉いわと褒める。レオンは濃灰の半ズボン、丈は膝ギリギリね。少し長めだった。細い青のラインが入っているの。裾や襟、袖など数箇所よ。
私はシンプルなロングワンピースに、ボレロ風の上着を羽織った。丈が短くて、肩甲骨を覆う程度なの。スカートはAラインでシンプルに仕上げている。こちらも青いラインが入っていた。
ヘンリック様も同じ濃灰色のスーツだが、詰め襟っぽい形ね。シャツの襟は内側に隠れる。紋章の入ったブローチを飾り、カフスはなし。代わりに青い貝のボタンが使われた。襟だけでなく、胸元にも青いラインが入って全体を引き締める。
玄関へ向かえば、お父様とエルヴィンが立っていた。
「あの子達とオイゲンは?」
双子がいないし、オイゲンも一緒に行くと思ったのに。首を傾げたら、オイゲンが慌てて駆けてくる。その後ろを双子が走っていた。
「転ばないといいけれど」
ヘンリック様に抱っこされたレオンは、「はぁく」と手招きする。お父様達は紺色で纏め、白いシャツと赤いボタンが印象的だ。この色合わせ、すごく派手ね。上手に組み合わせたら、夜会でも映えそう。
「急がなくていいと伝え……遅かったか」
ユリアーナが躓き、足首を押さえて蹲る。先を走っていたユリアンが足を止め、大急ぎで戻った。
「僕も……」
「いや、俺が行く」
エルヴィンが動こうとしたら、先にオイゲンが引き返した。さすがに抱き抱えるのは無理で、困っていたユリアンに話しかける。そのまま軽々とユリアーナを持ち上げた。
「力があるのね」
「彼は騎士になる訓練をしていたと聞く。あれは厳しいぞ」
経験者談なのか、ヘンリック様は肩を竦めた。レオンが真似をするも、両方の肩が一緒に動く。子供のこういう不器用さって、不思議と可愛いのよね。
ほぼ白に近い薄青のシャツの襟を直してもらい、レオンは擽ったそうに首を竦めた。くすくす笑う様子から、首筋が敏感なのかしらと微笑ましく見守る。
「ユリアーナ嬢のケガを診てくれないか」
戻ってきたオイゲンに促され、侍女が医者を呼びに行った。その間に、ベルントが椅子を用意して座らせる。膝を突いて確認したのは、イルゼだった。
「挫いたようですね。固定して冷やしましょう」
応急処置は出来ますと請け負う彼女に任せたら、あっという間に包帯で固定された。手際がいいわ。
「ユリアーナ、家で休んでいてもいいわよ」
「いいえ、絶対に行きます」
そうね、私が知る限り一年は顔を見せていない。全員揃ってのお墓参りがいいわ。足りないとお母様が心配なさるでしょうから。