軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

410.ずっと一緒のお嫁さん

レオンはわずかな時間考えて、真剣に言葉を選んだ。

「ぼく、おかぁしゃまの、およめたん……きしちゃまで、およめたん」

にこっと笑う。可愛いわ。でも私にお嫁さんはいらないかな。どう伝えたら傷つけないかしら。

「レオン、男の子はお婿さんだ」

ヘンリック様、そこじゃないわ。間違いじゃないけれど、指摘するのはそこじゃないの。困ったわね。

「いい? レオン。お父様のお嫁さんがお母様よ」

ユリアーナが噛み砕いて話すが、まだ難しいと思うわ。

「おとちゃま……? おかぁしゃまの、およめたん?」

あら、私のお嫁さんがヘンリック様になっちゃったわ。あらあらと微笑ましい気分で、私が口を挟んだ。

「レオンをお嫁さんにすると、私はお母様ではないのよ。いいの?」

「やだっ」

ここで意外な真相が明かされた。オイゲンとエルヴィンが、レオンのいる前でお嫁さんの話題を出したらしい。単語の意味を尋ねられ、「大好きでずっと一緒に暮らしたい女性がお嫁さん」と教えたんですって。

正しいけれど、レオンはそれを「お母様がお嫁さん」に変換されたのね。話す際に、さらに別の意味になった。

「レオン、お母様もずっと一緒にいる女性よ」

「うん!」

にこにこと喜ぶから、最終的にお嫁さんを差し引いて、夢は「騎士になりたい」に落ち着いた。公爵家の跡取りだからと、夢を否定したくない。当主が騎士でもいいと思うわ。

「小さな騎士様は、立派な騎士様になるのね。楽しみにしているわ」

「あい」

元気なレオンが興奮して立ち上がり、部屋を走り出した。追いかけて一緒に転がるユリアン、エルヴィンとオイゲンも加わった。どたばた走る男の子達に、ユリアーナは大人びた口調で「やぁね、子供なんだから」と呟いた。

「お前も一緒だろ」

ユリアンが聞き咎め、ユリアーナの髪を引っ張る。ちょっかいを出されれば、我慢できないのがユリアーナだ。結局子供全員で大騒ぎになった。使用人達は慣れたもので、手を出さずに見守っている。

「大騒ぎになっちゃったわ。興奮しすぎて眠れなくなりそうね」

「絵本を読み聞かせれば寝るだろう」

夫婦の会話に、お父様は眦を押さえた。

「どうなさったの?」

「いや、リアが幸せそうで安心した。結婚当初は連れ戻そうと思ったが……本当によかった」

謝ろうとしたヘンリック様の口を、手で塞ぐ。首を横に振って、話さないでと合図する。頷いたヘンリック様は、返事なのか。塞いだ手のひらに唇を触れさせる。尖らせてキスのように、触れて離れた。

手を引っ込めて睨んでから、お父様に向き直る。

「お母様のお墓参りに行きませんか? 皆が幸せですよ、と報告したいのです」

涙ぐんだお父様は何度も頷き、ヘンリック様が休日となる五日後に決めた。