軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

407.最大の敵は近くにいるの

部下の方から出仕要請を持たされた使者が到着し、ヘンリック様は支度を始めた。お見送りのために玄関へ向かい、口付けをもらって手を振る。

「おかぁしゃま、ぼくも!」

「お父様ではなくて?」

出かけるのはお父様で、お母様はここに残るのよ? と重ねて尋ねるも、レオンはお母様と! を主張する。よくわからないけれど、頬にキスをした。にっこりと笑って嬉しそう。

「……最大の敵は我が子か」

ぼそっと呟くヘンリック様は、ベルントに促されて出かけた。乗り込んだ馬車が見えなくなったところで、抱っこしていたレオンを下ろす。

「小さな騎士様、今日は鍛錬ですね」

「うん。ぼく、つぉくなる」

だいぶ言葉が落ち着いてきたわ。精神が安定したから? それとも、言葉の達者な家族の影響かしら。

ユリアン主導の鍛錬は、棒を持って素振りから始まった。オイゲンとエルヴィンも加わり、置いて行かれたユリアーナが合流する。私とユリアーナは、広場のベンチに腰掛けた。屋敷の敷地内が広いのは知っていたわ。でもこんな立派な訓練場があるなんて。

建物から見て裏庭に当たるこの場所は、騎士の訓練が行われたり、馬の調整が行われたり。さまざまな目的に使用されたらしい。最近は騎士が王宮の騎士団と合同練習をしているため、空いている。そこを借りたの。

グラウンドのような広場に、レオンは大興奮だった。歓声を上げて走り、棒を振って素振りもこなす。体力がついてきたのか、疲れたと座り込むことはなかった。

「失礼致します、奥様。こちらが届きまして」

「王家の封蝋? マルレーネ様かもしれないわ」

王太后になられてから、忙しくて顔を合わせていない。台風などの災害も重なり、懐かしく感じた。封蝋を破らず、封筒上をなぞる。開封用のナイフを使い、中の便箋を開いた。

「お茶会……ですって」

何度か使用した王宮の温室で、公爵家が集まってお茶会を開こう。要約するとそんな内容だった。お誘いいただいた中に、シュミット伯爵家の弟妹が含まれる。ヘンリック様にお聞きした方がよさそうね。

丁寧に畳んで封筒へ戻し、ヘンリック様の執務机に置くよう伝えた。

「きゃぁ! おかぁしゃま、みててぇ!」

叫んだレオンが、えいっと棒を振り下ろす。慣れた様子でオイゲンが弾き、続いてエルヴィンへ攻撃を仕掛けた。そちらも軽く払われる。二人の間を二度三度と走るレオンが、興奮したまま走ってきた。

到着した途端に棒を放り出し、座って待つ私の膝にしがみ付く。

「おかぁしゃま。ぼく、きし、した」

「ええ、とてもカッコよかったわ。素敵よ」

「本当に立派だったわ」

ユリアーナが重ねてくれた言葉に、レオンは嬉しそうな笑顔を振る舞った。可愛くて仕方のない天使は、棒を拾ってまた走り出す。午後のお昼寝は長くした方がよさそうね。