軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

403.私は愛し愛されているのね

抵抗したけれど、抱き上げてお風呂へ運ばれる。ヘンリック様の部屋を通過して、綺麗に洗われた。嫌よと口にするけれど、本気で抵抗はしない。だって、恥ずかしいけれど嫌いじゃないんだもの。

リリー達に洗われるのも、この状態では恥ずかしいわ。いかにも「しました」と宣言しているみたい。顔を覆って真っ赤になった私は、ヘンリック様と同じ石鹸の香りをさせてベッドに戻る。ヘンリック様が呼んだのは、イルゼだった。

「奥様、恥ずかしいことはございませんよ。好いたお方と愛を交わす、素晴らしいことです」

伯爵家出身のイルゼは、微笑んでそう伝えた。貴族令嬢が嫁ぐのは、政略がほとんど。ひどい場合は初対面のこともある。純潔を夫に捧げ、浮気は許されないのが貴族夫人だった。そんな中、出会いはどうあれ……愛する人と結ばれたなら喜ぶべきよ。

イルゼの言葉がじわりと胸に沁みる。ああ、そうよね。私は結婚した夫を愛し、純潔を捧げたの。代わりに夫の愛を浴びて、幸せな妻だわ。抱き上げられ、しがみついた。

せっせとシーツ交換を行うイルゼにより丁寧に整えたベッドに、再び横たえられる。まるで侍従のように、フランクが食事のワゴンを押して現れた。涙ぐんでいる彼は、手際よく準備を整えて無駄口を叩かない。それでも、部屋を出る時に「旦那様をよろしくお願いいたします、奥様」と頭を下げた。

ヘンリック様を見守った二人は、両親以上の愛情を注いだ。その息子も同然の主君に、やっと本当の妻が迎えられた。互いに思い合う姿に、喜びが溢れている。わかるけれど……やっぱり恥ずかしくて、顔が上げられないまま頷いた。

「さあ、アマーリア。あーん、だ」

「ちょ……でき、ます……」

まだ喉が痛い。柑橘のジュースは避けて、まずは水から。スープ、パン、サラダ……卵料理まで。すべてヘンリック様が給餌した。もう餌付けのレベルよ。

「こんなに幸せな気持ちは、初めてだ。ありがとう」

「……わたし、も……です」

照れてしまうけれど、恥ずかしさで顔を隠したくなるけれど。それでもあなたが好きです。伝えたら、優しく抱擁された。痛いほど強い腕も好きだけれど、こんな触れ合いも素敵。

筋肉に覆われているからか、私より僅かに高い体温が移る。じわじわと伝わる熱を受け止め、私は幸せすぎて泣けることを知った。焦って止めようとするヘンリック様が可愛くて、笑ったら咳き込んで。

「へ、リック……さま」

口付けを強請ってもいいですか? 喉が痛いので、少し唇を尖らせて示す。驚いたように目を丸くした後、ヘンリック様は柔らかく微笑んだ。それから顔を近づけ……。

「おか、しゃま……っ、おとちゃま? ぼくもぉ!」

ベッドで食べていた食事のワゴンをすり抜け、全力で突進する我が子がベッドに取りつく。よじ登ろうとするレオンに、くすっと笑った。その緩んだ唇を、塞いで離れた温もり。ヘンリック様は何食わぬ顔で、レオンをベッドに上げた。

「なに、ちてたの?」

「っ、ご飯を……たべ、たの」

それだけよ……と付け加えなかったのは、喉が痛かったのとヘンリック様の「しぃ」の仕草に見惚れたから。