軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

388.お祭りは準備から楽しいの

年嵩の使用人より、若い侍女や侍従が飛びついた。女主人である私が味方なので、遠慮しないみたいね。さまざまな追加の提案もあった。

「自分で焼いたお菓子、ありね。庭の薬草を使った自家製の痛み止め? だめよ」

薬草を使うこと自体は構わないけれど、自家製は困るの。ジャムなどと違って、味の違いが個性にならないでしょう? 効能が証明されていないので却下した。

代わりにハーブを使った、手荒れのクリームは許可する。こちらはすでに使用人の間で使われているんだもの。手荒れの後に効果があるんです、と力説されて……使用者の手を見て納得した。私も欲しいわ。

自作の絵や刺繍、上着を編んだ子もいる。楽器演奏でお金を貰うサービスも許可した。対価と提供する商品が釣り合えばいいのよ。

庭師は薔薇の花束を提案し、迷ったけれど認めた。土地や水、育てる費用もすべて公爵家持ちだけれど……枯れたら終わりだもの。ドライフラワーにしたいとはしゃぐ侍女がいるなら、自由にしたらいいと思う。それに台風で薔薇が傷んでしまって、植え替えになるかもしれないし。

許可書はフランクやイルゼと手分けして、紙で発行した。商品の名前を書いて、上に丸やバツを追加する。レオンは赤い丸と青いバツを丁寧に紙に記した。却下された人も、笑顔で受け取ってくれる。レオンも楽しそう。

お釣りの小銭を用意して、両替サービスも行った。他にも物々交換の提案を受け入れたり、上限価格を設けたり。お金儲けをするイベントではなく、皆で交流するお祭りだもの。給料を注ぎ込んで購入するような高額品が出ないよう、主催者としては注意すべきよね。

不用品を持ち寄って交換したり、売買する。娯楽の少ない使用人達は、ここぞとばかりに知恵を絞って商品を作り出した。準備期間は三日、レオンも絵を描いて並べる予定よ。私はどうしようかしら。

ユリアーナは得意な刺繍を、ピアノ演奏はユリアン。オイゲンは今回の倒木で彫刻をするらしいわ。間に合うのかしらね。エルヴィンが一番意外だったけれど……なんとパンを焼くらしい。絶対に一つは確保するつもり。できたら、ヘンリック様の分も!

商品に悩む私のところに、助け船が到着。別邸で過ごした際、注文したガラスのボタンが届いたの。鍛冶屋を継いだカルラは、色が揃わないものも含め、大量に持ち込んだ。せっかくなので、滞在してもらい彼女にも出店を要請した。目玉商品の一つね。ボタンに紐を通して、ネックレスにしても素敵だわ。

私? ガラスボタンはカルラの手柄だから、大人しく素朴なお菓子でも焼くわ。レオンが美味しいと食べてくれたお菓子を。