軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

375.見違えるほどの変化

扉のノックに応え、リリーが内鍵を外す。開いた扉の先で、ヘンリック様が待っていた。彼の姿を目にして、泣きたくなる。目の奥がじんとして、勝手に溢れそうになった。堪えるために何度も瞬きし、元気に椅子から飛び降りたレオンを支える。

「レオン、気をつけてね」

「あい!」

返事をしてヘンリック様へ両手を伸ばした。

「おとちゃま、だっこ」

「よく来たな、レオン。きちんとお母様を守ってくれてありがとう」

嬉しそうなレオンは、抱き上げられて首に顔を埋める。ぎゅっと強く引き寄せ、しばらく動かなかった。やはり普段いるはずの人がいない状況は、レオンにとってもストレスだったのね。

ぽんぽんとレオンの背中を叩いて落ち着かせる。ヘンリック様が手慣れているわ。驚いた私に、ベルントが教えてくれたのは……部下との交流だった。避難した部屋で、既婚者の部下から子供や妻への接し方を学んだんですって。

一段落するまで、私は馬車の中で待った。ベルントが問いかける眼差しを送るので、首を横に振る。レオンが落ち着いたら、私の番だから。すると、先にリリーが降りた。叔父であるベルントの手を借りて。その様子を見て、ヘンリック様が眉尻を下げる。

大丈夫よ。その意味を込めて、微笑んだ。彼は真っ赤になったけれど、ちゃんと伝わったかしら。

「おとちゃま……おかぁしゃま、まてうの?」

「ああ、そうだな。お母様が降りるのを手伝うとしよう。レオンも出来るか?」

「うん」

扉の前まで行くと、レオンが小さな手を差し伸べた。そこへ手を乗せ、反対の指先をヘンリック様が受ける。二人にエスコートされ、一歩ずつ確認しながら降りた。リリーとベルントが、いつでも滑り込めるよう構えている。いくら私の運動神経が鈍くても、転ばない……と思う。

勢いよく言い切れないのは、何度もケガをしたからよ。また転ぶのでは? と心配されるのも仕方ない。複雑な心境で顔を上げる。

「よく来てくれた、アマーリア。屋敷の皆に被害はないか? 義父殿達も元気だろうか」

本当に成長したわ。以前なら使用人やお父様達を心配したりしなかったでしょう。感動しながら「皆も元気です」と伝えた。声が震えそうよ。

近くで見ると、ヘンリック様の整った顔に見惚れる。久しぶりだから? 見知った彼ではないみたい。どきどきして、心臓の音が聞こえそうだった。

「おかぁしゃま。おねちゅ?」

手を解いて額に押し当てるレオンに、慌てて取り繕った。

「ありがとう、お熱はないのよ。レオン」

「うん」

三人が揃ったからか、レオンの笑顔は可愛いを通り越して尊い。天使の背中を確認して、翼を隠してしまいたいくらい。神様に呼ばれて、飛んでいってしまいそうだわ。親バカを発揮しながら、ヘンリック様と腕を絡めた。