軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

369.二度目の嵐が屋敷を襲う

夕方になると、窓がガタガタと激しい音を立てた。まだ風だけだ。窓やガラス扉を守るため、ほとんどを塞いだ。外の明るさが見えなくて、絨毯の部屋で耳を澄ませた。

「雨かな」

ぱちっ、ぱちぱち。何かを叩くような音が始まり、強くなる。騒がしくなり、気づけば豪雨の圏内に入っていた。ざーっ、とノイズのような音に混じり、雷が聞こえる。まだ遠いが、すぐに鳴り響くだろう。レオンは平気そう……問題は、この二人よね。

まだ雷が聞こえないので、二人に余裕がある。オイゲンはユリアーナと何やら話しているし、エルヴィンもお父様とカードゲームをしていた。ユリアンが両方の手札を覗き込み、ニヤニヤする。

「暴風域に入ったようだし、この部屋にいようと思うのだけれど……」

どうする? 雷が鳴るわよ。そんなニュアンスで話を向ければ、オイゲンはポケットから何か取り出した。見れば、エルヴィンも同様ね。

「これがあるから、何とかなります」

いわゆる、耳栓だった。窓を塞いだので、稲光は見えない。音が怖いのなら、聞かなければいい。彼らなりに、すぐ用意できる対策を考えたのね。

「おかぁしゃま、ぼくも、あれ」

「あら、レオンは雷の神様のお話があるから、平気でしょう?」

「うん……」

平気だけど、お兄ちゃん達と同じ物が欲しい。雄弁に語る眼差しに、ぷっと吹き出した。気を利かせて、イルゼが準備してくれる。綿を丸めて、糸で形を整えたのね。万が一耳から取れなくならないよう、糸を長く垂らすのが工夫点だった。

「準備できました、若様」

「あぃがと」

嬉しそうに受け取り、イルゼにぺこりと頭を下げる。それから不思議そうに耳栓を眺めた。何に使うか、まったく理解していない。

「雷の神様が騒がしい間、これを耳に入れるのよ。音が小さくなるわ。でもお母様の声も聞こえなくなるの」

メリット、デメリットは両方伝えておく。すると目を見開いたレオンは、耳栓を睨んだ。

「おかしゃま、きこえ、にゃ?」

「ええ、全部の音が小さくなるから、聞こえないわ」

最後まで聞いて、レオンは耳栓を私に差し出した。使わないと言う。せっかく準備してもらったから、トレイの端に置いた。もしかしたら気が変わって、使うかもしれない。

そんなやりとりをする間に、雷は大きくなった。地響きを伴うので、どこかに落雷している可能性もある。

「おとちゃま、こわいくない?」

不安そうに尋ねるレオンは、耳に手を当てていた。でも耳栓を差し出すといらないと断る。その耳元へ口を寄せ、やや大きめの声で告げた。

「お父様は立派にお仕事をしている。レオンもこのお屋敷を守って頂戴」

「うん!」

元気よく答えたレオンは、胸を張るようにそり返った。