軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

360.形に残る愛を示す ***SIDE公爵

妻が誕生日会を企画した。その手伝いをしながら、プレゼントを思いつく。フランク達に相談したところ、乗り気で提案してくれた。

女性はサプライズが好きだという。内緒で準備し、驚かせる。楽しそうだと思い、話に乗った。お揃いのドレスを話し合いながら決めた日、ふと気づく。アマーリアは装飾品を身に着けない。イルゼに尋ねたところ、レオンを傷つけるから指輪もしないと。

指輪――背筋がぞくっとした。婚約指輪を渡していない。前妻の時は見栄えのする宝石を贈った。契約結婚だからいいかと考え、アマーリアに用意しなかったのだ。彼女が何も求めないから、甘えてしまった。

婚約指輪を用意しよう。今さらと笑われてもいい。豪華で見栄えのする宝石、できたら俺の色を入れたい。暴走気味の俺は、職場で部下に尋ねた。指輪はどこで手に入るか、と。

商人を呼びつければ、バレてしまう。だが自分で買いに行った経験がないため、店の場所も振る舞い方もわからない。素直に話すと、部下達は二軒の店を候補に挙げた。

デザイン重視で見栄えがするも宝石は小粒で手頃な店、豪華な宝石で高価だがオーソドックスな品揃えの店。部下同行で両方の店を確認し、大粒の宝石を選んだ。透き通ったサファイアを見つけ、それに決めようとした時……ふと目に入ったのは、青紫の石だった。

ほとんど青なのに、光が入ると紫色が現れる。あまり詳しくないが、ここ最近輸入され始めた宝石らしい。まだ出回っておらず、希少価値は高い。売り込もうとする店主の声が、俺の頭で上滑りする。ほとんど聞いていなかった。

浮かんだのは、レオンの瞳の色だ。前妻の赤い色が混じり、美しい紫色が現れた。それでも目を伏せれば、青が強い。アマーリアの溺愛するレオンの色、それでいて俺の青も感じさせる。この宝石が相応しいと感じた。

まだ説明を続ける店主を遮り、宝石の購入を決めた。大粒が映えるよう、周囲の飾りはシンプルに。だが上品さを兼ね備えた細工を施す。繊細な透かしの上に、大粒の石を据えた。

「公爵夫人の指のサイズはご存じでしょうか」

「指のサイズ……」

自分の手を見て考え込む。何度か手を繋いでいるが、明らかに細い。このくらいか? いや……もう少し。唸りながら説明していると、部下が助け舟を出してくれた。

「ギリギリのところで迷ったら、大きめの方がいいですよ。入らなかったら女性は機嫌を損ねます」

私が太ってるって意味?! と怒鳴られた経験を話す部下に頷き、それでも一番近い大きさを選んだ。こういった店にはサイズを測る道具がある。借りていって、寝ている間に測ったら……とも思ったが、絶対にバレてしまう。

同行してくれた部下に感謝し、彼の妻に小振りな宝石を買った。臨時収入として、渡せばいい。小躍りしながら喜ぶ部下に頬が緩んだ。アマーリアも喜んでくれるだろうか。

数日後、一人で受け取りに行った指輪は……やはり大きかったようだ。告白して指に入れたところ、くるりと回った。購入した指輪は無駄になるのかと肩を落とせば、サイズ直しができるそうだ。安心した。

アマーリアが喜んでくれたことが、何より嬉しい。いい雰囲気になったが、大泣きするレオンに妨げられた。仕方ないが……あと数分、遅く来てくれたらと思ったのは、秘密だ。