軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

331.差し入れ名目の訪問

朝からレオンと猫の世話をする。今日はレオンが餌やりで、私は掃除ね。でも使用人が掃除を済ませていたので、レオンの手伝いに徹した。子猫は餌の匂いに走り出し、母猫は置かれたソファーの陰から見つめるだけ。

「レオン、ご飯を置いたら離れてみて。食べているところをじっと見られたら、アイが恥ずかしくなっちゃうわ」

「うん」

ガラス張りの二重扉の手前まで戻り、一緒に座り込んだ。私達が床に座るため、入り口付近は厚みのある絨毯に交換された。クッションも用意されている。

離れた後、こちらを睨みながらも母猫アイが餌に近づいた。夢中で食べる三匹の子猫を体で隠しながら、自分も口をつける。その姿を見つめ、母親って子供のためなら何でもしちゃうのよね、と頬を緩めた。

「さて、午後から王宮よ。レオンも着替えて一緒に行きましょうね」

「うん! おとちゃま、まってゆ?」

「ええ、ヘンリック様のご飯を運ばないと、お腹空いちゃうわ」

「あい、いっちょ」

猫と一緒だと笑う幼子と部屋を出た。オイゲンと弟妹は、午後から猫と遊ぶらしい。あまり構いすぎないよう、監視に侍従や侍女を配置しないと。途中で止めるなら、イルゼがいいかしら。フランクは屋敷の管理で忙しそうだったから。

冬が終わり、春が訪れた。暖かくなる外気に合わせ、屋敷も模様替えが始まる。フランクの仕事が急激に増えていた。温室が増えるし、ドレスや宝飾品の入れ替えもあるみたい。前世でいう衣替えね。

料理人に用意させた料理は、摘まんで食べられるパンだ。間に肉、魚、野菜に卵と具をふんだんに挟んでもらった。もちろん、王太后陛下へ持っていくケーキもお願いしている。ケーキはクリームや果物はなしの、地味なパウンドケーキだった。

私の人参ケーキのレシピを渡したので、アレンジしたらしい。あくまでも夫への差し入れのついで、の体裁を崩さない。豪華なケーキは不釣り合いだもの。

用意された馬車に乗り、揺られること一時間。かなりゆっくりと、遠回りして馬車を走らせてもらう。レオンは景色に夢中だった。喜んでくれてよかったわ。

「おかぁしゃま、おはにゃ! あれ、ほちぃ」

「帰りにしましょう。いま摘んでも萎れちゃうわ」

「ふーん」

思い通りにならなかったのが面白くないのか、唇を尖らせた。きちんともう一度理由を伝える。お水がない状態だと花が苦しいと知り、レオンは我慢すると口にした。たくさん褒めて撫でる。

馬車が到着した王宮のアプローチには、ヘンリック様が来ていた。出迎えてもらうと気恥ずかしいわ。手を借りて降り、レオンは抱っこで移動する。部下の誰かから教わった肩車をしたくて、ヘンリック様はレオンを肩に乗せた。

「きゃぁ! しゅごぉい、ねぇ」

高いと大喜びだ。レオンは高所恐怖症ではなさそう。黒髪にしがみ付いて、周囲に笑顔を振りまいた。