軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

318.延期していた授業を受けに

昼食を食べるレオンは、左手にスプーンを握り、右手でパンを掴む。口に運んで、挟んだハムを咀嚼した。もぐもぐと表現したくなるわ。頬が膨らんでリスのよう、可愛さに頬を緩めた。

「レオン、ゆっくり食べて。猫はどこにも行かないし、この後は音楽の授業よ」

猫達はゆっくり休めるだろうし、楽器を習いたいと言い出したのは子供達自身だ。お茶会や暴言騒動で、授業は何度も延期を繰り返した。そろそろ授業を受けないと、楽器の扱い方も忘れてしまう。

「うん、ちんばる! あと、おひぅね」

あら、ちゃんと予定を把握しているのね。不思議に思って首を傾げた。騎士の鍛錬もしたいと言う。エルヴィンやオイゲン様に、注意されたんですって。きちんと決められた役目を果たすように、と。そうしないと、次に何かを希望しても「また放り出すのでしょう?」と却下されるから。

嫌に実感がこもった言い方ね。オイゲン様は経験から口にして、エルヴィンも似たようなもの。学べる環境を大切にしたいと考えた。そのため、新しいことに目移りするレオンを、不安に思ったのね。見ていた光景を話してくれたマーサも、同意見だった。

貴族の子は平民より早く大人になる。周囲の環境もあるし、与えられる勉強も影響するでしょう。やはり、勉強の真似事は早かったかしら。もう少しゆっくり、レオンの自由にさせてあげたいわ。

食事を終えたレオンは、自分で口元を拭いている。頑張っているから注意しないけれど、それ……ナプキンじゃないわ。ハンカチをそっと渡して、お皿の下に敷くランチョンマットを遠ざけた。

「おいちっ、した」

「もうお腹いっぱい? 果物は食べないの?」

「たべゆ」

子供もデザートは別腹みたい。出てきた苺はまだ酸っぱいのに、勢いよく頬張った。半分も齧って「うっ」と顔をしかめる。なのに、残りもぱくりと口に入れた。また顔のパーツが、きゅっと中央に寄る。

ふふっ、おかしい。向かいではユリアーナが苺を避けて、隣の蜜柑を口に入れた。オイゲン様は酸っぱいのが平気みたいで、首を傾げて「酸っぱいか?」と不思議そう。

「ああ、これか」

エルヴィンが苺を口に入れ、うーんと唸った。その姿を見て、ユリアンが挑戦する。眉根を寄せたものの、その程度の反応だった。私も一つ摘まんでみるが、思ったほど酸味を感じない。

レオンは唸りながらも、また苺を齧っている。年齢が低いほど酸っぱく感じる? もしかして、大人の舌がバカなのかしら。その可能性はあるわね。

果物を食べ終わって手を拭く間に、音楽教師のアルノーが到着した。報告を受けて、立ち上がる。爵位の問題ではなく、教師と生徒の関係なら、お待たせするのは失礼だわ。先に勉強部屋で待つお父様がいるけれど、急ぎましょう。

レオンは歩きながら、ポケットから苺を取り出す。やや大きい実を三回に分けて齧り、ヘタをどうしようか迷っていた。お行儀が悪いと叱るべき? それともお腹いっぱい食べることを優先する方が……。

私が迷う間に、マーサが手を差し伸べてヘタを回収した。今回は、気づかなかったことにするわ。