軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

315.個性あふれる猫の親子

下手な説明より、白猫の脱走は雄弁だった。フランクは二重扉の必要性に納得し、子供達も猫は飛び出すと覚える。オイゲン様はお礼を言われて、照れたようね。耳が赤くなった。

上着ごと運ばれる白猫の手が、隙間からはみ出る。ちょいちょいと周囲を探る間に、床に下ろされた。包んだ上着から飛び出し、不思議な動きで踊るように跳ねた。楽しそうね。

まるで近くに敵がいるように、空中に襲いかかって転がる。起きて左右へ飛びすさり、ぺたりと伏せた。白猫が動くたび、レオンが「きゃぁ!」と歓声を上げる。

猫が歩きやすいよう、部屋は絨毯を敷き詰めた。汚してしまうから、高級な絨毯は要らない。滑ってケガをしないよう敷くつもりだったが、イルゼの進言でそれなりの絨毯を敷いた。外部の人を招かない部屋だが、レオンを含めた皆が座る可能性があるの。

レオンが座るなら、硬くて薄い絨毯では困るわね。それに、ペラペラの絨毯では、猫が走り回るたびにクシャクシャになってしまう。逆に手間が増えますと言われたので、捲れない厚さの絨毯を採用した。

正解だったわ。絨毯の部屋で寝転ぶことに慣れたレオンは、靴を履いたまま腹ばいになる。この部屋も土足厳禁にした方が良さそう。

三毛の子が顔を覗かせ、周囲を見回す。その後ろから、押し潰すようにサビの子が乗っかる。母猫は用心深く目を光らせ、白猫だけが元気に走り回った。

皆が興味津々で見守る中、親猫がのそりと姿を現す。さっと走り、壁際に飛び込んだ。家具の隙間からこちらを警戒する母猫を追いかけ、よちよちとサビ猫が歩き出す。寝転がったレオンの前を通り、そのまま母猫に回収された。首根っこを噛んで、自分の後ろに隠してしまう。

今日明日くらいは、放っておいてあげたいけれど。部屋に馴染むまで猫だけにするのが理想だが、楽しみにしていた子供達は我慢できない。手を出さないだけで、精一杯だった。もし部屋から出るように伝えたら、泣き出すかもしれないわ。

「レオン、皆も聞いて。猫は縄張り意識が強い動物なの。知らない家に引っ越して、まだ怖いのよ。だから急に触ったり、抱き上げたりしないで」

「うん、あった!」

わかったと手を挙げて告げるレオンの隣で、ヘンリック様も大きく頷いた。双子やエルヴィン、オイゲン様も……そういえば、オイゲン様だけ慣れた感じだったけれど。

「オイゲン様、もしかしてお屋敷で何か動物を飼っていたのかしら」

「あ、様は要らないです。屋敷には犬がいました」

このくらいです。手で示すのは、彼の胸の下あたり。大型犬のサイズね。子犬の頃から飼っていたなら、動物慣れも当然かも。

「ねこしゃ!」

そういえば、名前も決めないといけないわね。レオンはいつの間にか白猫ではなく、母猫に夢中だった。珍しいわね、子供って小さくて可愛いものが好きだと思っていたわ。子猫より、母猫を見つめるレオンは、にこにこと笑顔満開だった。