作品タイトル不明
お茶会の後2
わたくしが帰宅する直前に不穏な情報が入って来たとのことで、そちらについて教えて頂きました。
なんでも、王都から見て南方にある子爵領二つが、一触即発の状態にあるとのことでございます。
この理由が何とも恐ろしく、例のご令嬢に対する意見の食い違いとのことです。
この二つの領はどちらも年若い子爵だそうで、一人は学園を卒業したばかりとのことでございます。エドワード殿下と同じ学年ということです。
両子爵の間にどんな意見の相違があったのか、仔細はわかりませんが、武力抗争に発展しかけているということですから穏やかではございません。
恐ろしいことに現在、二領の領境にある原で、双方の領兵が睨み合いになっているのですとか。
刃が交わる前に事を治めるため、近くの伯爵領が仲裁を図るおつもりで領兵を率い、穏便に済ませるように、と説得に当たるようです。さらに、伯爵家領で力不足なのであれば、侯爵領が出るかもしれない可能性もあるそうでございます。
子爵領の争いに対して伯爵領が出るのはともかく、侯爵領が仲裁に入る可能性があるというのは稀有なことです。
それほどに緊迫しているということなのでございましょう。
このきな臭さを受けて、夫はアルフレッドを領地に帰すことにしたそうでございます。
至極当然のことと存じます。
王都の物々しさといい、二領の睨み合いといい、夫の内乱という言葉が現実味を帯びて来ているようで寒気がいたします。
そしてこの王都の物々しさ、二領の睨み合い。いずれもクリアハート嬢が理由となっているのです。
いつ王都やその他の領に飛び火しても、おかしくはございません。
たった三年とはいえ、アルフレッドには領主としての教育を施しました。
そんなアルフレッドを領に帰すと言うことは迅速な判断を下せるものと、それに伴う権力の両方が領地にあるということです。
現時点で権力を持つのはアルフレッドではなくお母様ですが、お母様はアルフレッドを全面的に支援くださることと思います。
有事、又は有事が起こりそうな時に早急な対応ができるというのは何よりも大切なことでございます。
ですからそれを整えることは領主として第一に行うことなのでございます。
本当はアルフレッドが王都にいる方が情報が入って来やすいのです。私達とは違う、今中心となっている若い世代であるというこれだけのことで、情報の速さが違うのです。
ですが優先すべきことを間違えてはなりません。
晩餐の後、ハルクタルム夫妻とアルフレッドを見送っておりました。
帰り際、ハルクタルム伯爵が、特段に変わりはないかと、聞いてくださいました。
このところ時勢に振り回されておりますから気にかけてくださったのでしょう。
イザベラ叔母様も、
「なんだか二人とも疲れているから心配よ。セシリア、あなたもね。」
と添えてお話し下さいます。気を遣って下さいました。お二人の優しさがとても温かく嬉しく思います。
ただ、イザベラ叔母様がほんの少し早口な様子だったのが気にかかりました。
お二人を見送ってからは、夫に聞かねばならないことがあります。疲れておりますが、大事なことでございますから今日のうちに話してしまいたいのです。