作品タイトル不明
クランの会議
朝食の後に、会議をすると声をかけられた。
昨日の会議室に入ると、同じような顔ぶれに数人増えている感じだ。
バスラが席に着くと、すぐに話し合いが始まった。
「さて、岩モグラがこのクランを目指して進んでいるという話だ。
どう対処するか、いい案はあるか」
それぞれが自由にしゃべり出した。
「とりあえず、土の魔法使いには待機してて欲しいよな。遠征に出るの禁止」
「え~、まあ、そうね。了解」
「宗教団体の拠点を襲って、幹部を数人捕まえてくるか。なぜこちらを襲ってくるか意図を確認しよう」
「そんな奴ら、問答無用で潰せばいいんじゃないか?」
「やりすぎてこちらが犯罪者になるのはよくない。国だって危険視しているだけで、手をこまねいているんだぞ」
「うちのクランと関わる部分だけ対処したらいいんじゃないの?」
「どうゆーこと?」
「サークレットの制作者を捕まえて……フォンさんだっけ? 彼女の状態を改善すればいいだけでしょ」
「他国にも進出しているから、この国の王都の拠点に制作者がいるとは限らない。そこだけ潰しても意味がないかも」
ああ、問題が山積みだ。いろいろなことが絡み合って、解決の糸口が見つかりそうもない。
「それじゃあ、夢魔を呼んできましょうか。夢の中では、ほぼ嘘がつけませんから」
事もなげにオンが提案した。
「ほぼ、というのは?」
バスラがその言葉を聞き咎めた。
「自覚なく罪を犯しているものは、自分に都合のいいことしか言いません。宗教関係者は正義感に凝り固まっているので、正確な情報を引き出すのが困難な部類でしょう」
会議室は「ああ……」と納得と脱力の空気に包まれた。
「狂信的な宗教団体と関わるのが厄介なのは、話が通じないせいもあるよな。
そもそもの話、宗教団体の拠点は割り出せるのか?」
バスラがオンに重ねて訊く。
「少し時間がかかりますが、不可能ではありません」
「どんな対処をするにせよ、うちのクラン単独で動ける規模の話じゃないな。建物に不法侵入したと訴えられても面倒だし。
宰相にでも相談するか。オン、時間稼ぎはできるか?」
国に相談するとなったら、それだけで数日かかるもんな。
「岩モグラをちょっと脅して、進みを悪くしたらいいでしょうか?」
「ああ、それで頼む」
結局、話し合いは「国に相談」という形に落ち着いた。
誰が王城に行くんだろう。
そんなところに行くバスラたちは大変だ。心の中でエールを送ろう。
……まさか、俺は呼ばれないよな? いや、パーティーメンバーが関係しているから当事者か。
――気ままな冒険者生活、どこに行った?