作品タイトル不明
説明会の反応
ドキドキしながら会場を見ていると、一人の冒険者がこちらに歩いてきた。質問か? ……申込だといいんだが。
「何口まで申し込んでいいんだ?」
彼の仲間たちも、こちらを注視している。目線が集中して、圧を感じるぞ。
とにかく、すごい乗り気なのが伝わってくる。
「あの、基本的に一つのパーティーで一口が理想ですけど……応募が少なければ二口以上も考えます」
特定のパーティーに買い占めされるのも良くないだろうし、オンと相性のいいパーティーを探すのも目的の一つだからな。
「そうか。じゃあ、とりあえず一口申し込むよ」
彼の仲間たちはハイタッチしたり盛り上がっている。
「ありがとうございます。では、こちらの名簿に記入してください」
やった!
釣られたように数組が申し込んでくれた。遠征中で、この説明会に参加していないパーティーもいる。
ひとまず、動き出せそうでよかった。
俺がバスラと事務担当者を見ると、彼らは満足そうにうなずいてくれた。
「ご静聴、ありがとうございました。説明会は以上です。この後で希望する方は、事務担当に申し出てください。
それから、オンに見本を見せてくれるAランクの魔法使いを募集します。協力してくださる方はいらっしゃいませんか?」
「なんだ。また面白いことを考えているのか?」
先日、デッドフロッグの護衛をしてくれた人が近づいてきた。
「俺は風魔法でAランクだ」
親指を立てて自分を指し、ニヤリと笑う。
「……なんか、印象が違いますね」
「あれは仕事中だったからな。討伐に手を出さないよう、距離を取るために丁寧に接してた。
俺の実力を見せてやるよ」
「それは楽しみです」
こちらもニヤリと笑い返す。職人に作ってもらった入れ物の性能を、じっくりと味わって欲しい。
「じゃあ、冒険者ギルドまで移動するか」
ギルドマスターのバスラがみんなに声をかけた。特に大きな声ではなかったが、さっと会場全体が反応した。
「希望者だけでいいですよ。お忙しい方は無理をなさらず」
と、俺は説明を加えた。
「人数が増えることはあっても、減ることはないだろ。冒険者なんだぜ」
風の魔法使いが俺の背中を叩いた。話し合いは面倒だと他のメンバーに任せ、参加しなかった冒険者もいるらしい。
くだけたしゃべり方が仲間のようで嬉しいと思う。その反面、フォンと同じ風の魔法使いというところに引っかかってしまう。簡単にメンバーチェンジするみたいで、ちょっと……後ろめたいのか?
俺は、ルナのぬいぐるみが入った袋をぎゅっと抱きしめた。貴重なぬいぐるみだから、スリに気をつけないと……。
冒険者ギルドまでの道のりで、他の魔法使いにも話しかけられた。到着する頃には、火魔法も水魔法もAランクの魔法使いが確保できた。
さすが、大きなクランは人材も豊富だ。