軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

戦力の確認

デッドフロッグの対策を立てるのに、一日時間を取ることにした。

ルナには、毎年デッドフロッグをどれくらい討伐しているかなど情報を集めてもらう。

サァラには、武器を買いに職人街へ行ってもらった。小さな木製の盾と、ルナの半月刀に塗る粉が欲しい。

それからアーデンの戦い方を知りたい。同じ村の出身でも、戦うところを見たことがないのだ。

それに、義足でどれくらいできるのかを確認して、敗走する場合も考慮しなければ。

冒険者ギルドの訓練場に行くことにした。

アーデンとエドガー、それにオンだ。

「アーデンの足は、生えてくるのにどれくらいかかるのですか? もう五、六年経っていますよね」

とオンが訊く。

「あ~、人族の足は生えてこない」

アーデンは苦笑いして、頭をかいた。

「そうなのですか。それなら大事に扱わないといけませんね」

……なに、今の会話。とりあえず、オンは人族じゃないらしい。

欠損した部位が生えてくるって、爬虫類か? いや、あれも尻尾くらいだろ。

「アーデンさんは走れますか?」

それによって、作戦が大きく変わる。

「おう。線香の四分の一(三十分)くらいは走れるぞ。Cランクのモンスターなら逃げ切れるだろ」

試しに訓練場を走ってもらった。遅くなったと言いながらも、充分早い。息も切れていない。

「村の自警団で指導してもらってたんだけど、義足に慣れたら実演して見せるようになってさ」

エドガーが自慢げに教えてくれる。

「そうなんですか。モンスターが来ても怖くなくなりました?」

小さな村で、冒険者ギルドの支部もない。基本は自分たちでなんとかしなければいけない。

「怪我人は出るけど、亡くなる人は減ったよ。強くなると冒険者になりたくなるみたいで、出て行っちゃうんだよね」

「こんなもんでいいか?」

アーデンが戻ってきた。袖で額の汗を拭い、いい運動をしたという顔をしている。

「はい、充分です。ありがとうございました。

次は攻撃と防御を見たいです」

的に向かって投石をしてもらった。

腕を振りかぶって投げるのも、スリングを使って投げるのも……威力があるし、正確だ。

石よりも突き刺さりやすいものを投げたら、デッドフロッグの粘膜を貫通できないだろうか。

「アーデンさん。石の代わりにナイフを投げるのは難しいですか?」

「試してみないとわからんな。村に出るモンスターは投石で充分だったから」

「じゃあ、練習用のナイフを借りてきますね」

俺が駆け出そうとしたら、エドガーがそれを止めた。

「それは僕が行ってくるよ。トーマはもっと試したいことがいろいろありそうだし」

「あたしの戦力も確認した方がいいですよね?」

オンが挙手をして、会話に参加してきた。

「いや、それは無理だって言っただろ」

アーデンが止める。

「空に向かって、風魔法を一発くらいならいいと思うのです。それを見て、トーマさんがアドバイスをください」

声が弾んでいる。俺は知識が豊富な教官じゃないんだが……。

「見ていてくださいね。では行きます」

予備動作なしで、ただ腕を空に向けた。

「あ、馬鹿。やめろ!」

アーデンが飛びかかろうとしたが、義足が地面を捕らえきれずよろめいた。

俺はアーデンを支えるために、そちらに手を伸ばした。

ぼしゅん。

不思議な音がして、爆風に押された。斜め後ろからの風で体勢を崩し、アーデンを支えるどころではない。一緒に転がってしまった。

訓練場は土煙に包まれ、目も開けられない。他の冒険者たちが怒鳴り合っている。「誰だ?」「何をした?!」「くそったれ!」

煙が薄れ、遠くまで転がったエドガーがこちらに手を振ってきた。

「あの、ごめんなさい?」

訓練場に、オンが一人だけ、立っていた。