作品タイトル不明
依頼受注
冒険者ギルドに入ると、注目を集めた。体格のいいアーデンのせいか、特別扱いされているオンのせいか……。
「Cランクの依頼を見てみようか」
ルナは視線に臆すことなく、掲示板の方へ歩いて行く。ルナも注目されやすいから、気にならないのかな。
「オンを連れて行くなら、魔法をぶっ放しても大丈夫な場所がいいぞ」
アーデンが苦笑いした。
「そうなんですか。ちなみに魔法の種類は?」
物騒なアドバイスだ。威力がすごいということだよな。
「火も水も風もいけます」
口調は丁寧というかお淑やかなんだけど。皆の反応を見ていると、見かけと違うらしい。
長所と短所を知らなければ、討伐の作戦は立てられない。本当なら、討伐に行く前に訓練場で実力を見せてほしいところだ、だが、アーデンに「オンは訓練場を壊しかねないからやめておけ」と忠告された。
「コントロールが良くないなら、素材を取るのは諦めた方が良さそうですね。とにかく倒せばいいという依頼で……沼地とか? 高い山の上とか?」
被害が少なくてすみそうなところ……遠いけど、海もありかな。
「デッドフロッグの依頼があるね」
早速、ルナが沼地の依頼を見つけた。前のパーティーで討伐したことがあるモンスターだ。
体の表面を覆うぬめりが曲者なんだよな。
「沼地にいて人里に下りてこないなら、別にいいんじゃないか?」
モンスターも討伐すればいいというものではない。そのモンスターが他のモンスターを抑えていることもあるのだ。
「増えすぎないように、数を減らして欲しいんじゃない?」
サァラがそう推測する。
「地元じゃないと、そういう事情がわからないよね」
ルナが唇を片側だけ上げた。トゥルメル領では彼女たちの知識に助けられていたと、改めて思う。
俺たちは王都については知らないことが多い。
「受付で訊いてみるか」と、俺は受付の方を指差した。
全員で受付に向かうと、職員がバッと立ち上がった。
「本日は、どのようなご用件でっ?」
ちょっと声が震えている。
「この依頼のことを教えて欲しいんだけど」
ルナが代表して質問する。
「み、皆様、一緒に行動されるのですか?」
俺たち三人に加えて、アーデンとオンがいる。
エドガーは冒険者ではなく、見学するだけなので後ろに控えていた。俺たちを観察しては、時々、何かを書き付けている。事情を知らなければ、彼は不審な人物だ。
「まだ決めていないけど、たぶん、一緒に行くことになると思う」
ルナは断言せずに、言い訳めいた返事をした。
「ですが、Aランクと元Sランクでは過剰戦力かと」
勇気を振り絞るように、職員が言う。
「俺は元Sランクって言っても、今は義足だからな。Cランクで通用するか試してみないとわからないぞ」
「Aランクの人の戦い方を見たいので、肩慣らし的な依頼を探しているんです」
俺はそう付け加えた。
「そ、そうですか。では」
詳細を訊いていないのに、職員は依頼受理の手続きに入ってしまった。
「どうする? まだ受注するか決めてないって言う?」
ルナが俺たちを見て問いかけてきた。
「今さら断るのもめんどーだから、いいよ」
アーデンがそう言った。
「あたしも、周囲に民家とか無ければ、問題ないと思います」
「それって、魔法の制御が下手だから?」
サァラが半眼でオンを見た。
「はい、その通りです」
悪びれもせずに、明るく返事が返ってきた。
なんか、謎の多い子だな。