軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

31話

クラブ紹介が続く中、満景は紹介されるクラブの順番についての流れが分かってきた。

他の学校にもありそうな有名なクラブ活動ないしは実績がちゃんとあるクラブは、先に紹介の順番が来ている。

先に紹介を終えたクラブには、体育会系なら野球やバスケやサッカー、文化系なら料理や絵画や書道などが入っていた。

この順番は、意図してそうなっているのだと、満景は感じていた。

(人間の集中力は、そんなに長く持たないもの。だから、多くの人が興味がありそうなクラブを先に紹介することで、生徒にクラブ活動を促したいんだろうね)

この学校において、クラブ活動は任意だ。

言ってしまえば、このクラブ活動紹介の時間を、まるっとお喋りに費やしても、学業に問題は起こらない。

だからこそ、人気があったり有名だったり実績があったりするクラブの順番を先に持ってくることで、生徒の多くがクラブに参加する余地を生もうとしているのだろう。

(この考えが合っているのなら、逆に後になればなるほどマイナーで実績のないクラブが出てくるってことになる)

満景の予想は当たり、一時間を過ぎて小休憩を挟んだ後あたりから、段々と活動実績が乏しいクラブが出てき始めた。

パソコンクラブ。ロボット研究クラブ。歴史検証クラブ。都市伝説解明クラブ。道教クラブ。死霊術クラブ。遺跡解析クラブ。古代史再検討クラブ。星見占いクラブ。

紹介が後になればなるほど、霊能系の色が強くなってきている。

活動内容もふわっとしたものが多くて、新入生の興味をひくにはフックが小さすぎるきらいがある。

そんな怪しいクラブの中に、満景が一瞬だけ気になったクラブがあった。

それは、使い魔育成クラブ。

活動内容は、西洋魔法を遣い、動物を使役して霊能活動に役立てるというもの。

犬なら霊の匂いを覚えさせて探知犬に仕立てたり、鳥なら嘴による攻撃を覚えさせて上空から悪霊を襲撃したり、鼠なら崩れそうな廃屋での捜索に使ったりするようだ。

しかし、壇上で説明している生徒の足元に、雑種らしい毛並みの犬がじゃれついているのを見るに、使い魔育成は建前で、本質は学校で動物を飼って可愛がるクラブであるように感じられる。

この動物を愛でるという部分に、先月にペットロスを体験したばかりの満景は興味を持った。

しかしすぐに、このクラブには入らない方がいいなという直感が働いた。

(オシロは神様の下で修行中で、アゼンは猫又の学校で学んでいる最中。僕が他の動物にうつつを抜かしていたら、再開したときに怒られそうだしね)

満景は、他に気になるクラブが出て来るかもしれないと希望が持てたので、紹介を見続けることにした。

しかし、その期待もむなしく、入りたいと熱望するほどのクラブはなかった。

合計二時間半にも渡ったのクラブ紹介が終わり、新入生たちは座りつかれた様子で立ち上がる。唯一小里だけは、スマホに撮った動画を確認して、嬉しそうな顔をしていた。

その後、教師の退室の言葉を受けて、出入口から近い場所から新入生たちが出ていく。

満景と小里は前の方に座っていたので、出るまでに時間を必要とした。

二人が体育館にいる最中に、外から人を勧誘する大きな声が聞こえてきた。

なんだろうかと、満景と小里は顔を見合わせて、順番が来たので二人とも体育館の外へ。

体育館の外に広がっていた光景は、新入部員を確保しようとする、在校生たちの山だった。

「経験者歓迎! 未経験者でも仮入部した際に優しく教えるよ!」

「専用の器具が盛りだくさん! 一緒にボディメイクをしてみないか!」

「女子生徒が中心で活動してます! 女子歓迎! 男子は本気でやりたい人だけ!」

「オカルト! オカルトに興味ある人! 霊能者なんだからオカルト!」

在校生たちから多量の言葉を浴びせかけられて、新入生たちは呆然としたり困り顔になったりしている。

満景と小里も、在校生の熱気に当てられて、唖然としていた。

「これは、移動するだけでも骨が折れそうだね」

「仮入部は何個入ってもいいからって、先輩たちの勧誘方法が節操なさすぎだよねー」

二人は意見を一致させると、この場から撤退を決意した。

新入生たちの集団から二人で離脱し、そして一年A組の教室へと向かって、それぞれ別のルートを進む。

片や、制服で地味な印象の男子。片や、おしゃれな私服で可愛らしい顔立ちの女子。

別々の方向から逃げようとする新入生二人のうち、在校生がどっちに優先的に声をかけるかは分かり切っている。

「そこのラッパズボンの新入生! 話を聞いてくれ!」

「逃がさない! せめてチラシだけでも!」

「ファッションに興味があるのなら、裁縫部に!」

多数の先輩に集られて、小里は乙女に不似合いな悲鳴を上げる。

「あわわ、うひー!」

「合掌。成仏して」

尊い犠牲に両手を合わせてから、満景はこっそりと勧誘する先輩集団から離脱することに成功した。