軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

石炭鉱山を復活せよ①

第19話 石炭鉱山を復活せよ①

炭鉱を復活させる。

そのための最初の一手は――運搬だった。

ベルトコンベアは、社長自ら設計した。

重い石炭を運ぶため、モーターと減速ギアを組み込み、低速高トルク仕様にした。

軸受けは厚く、駆動部はすべて鉄のケースで密閉。

ガスが充満しても火花が外に出ない構造だ。

試験運転。

大量の岩を乗せる。

ゴウン……と低い音を立て、ベルトがゆっくり動き出す。

石が運ばれていく。

速度を上げる。

落ちない。滑らない。

「……よし。」

会心だった。

これを何本も坑道に並べれば、掘った石炭は一気に外へ出せる。

人力とは比べものにならない。

生産性は跳ね上がる。

次は掘削機。

工場裏の試験場で、巨大な岩にドリルビットを当てる。

「回せ。」

スイッチが入る。

ギュイイイイイイイイイ!!

石が削れ、粉が舞う。

少年たちが歓声を上げる。

「すげぇ!!」

だが――

焦げ臭い。

次の瞬間、火花が散った。

「止めろ!!」

緊急停止。

ドリルを分解すると、モーターの電線が黒く焦げていた。

布巻き絶縁が焼け落ちている。

社長は黙って指で触れた。

(……甘かった。)

炭鉱は高温。粉塵。振動。

理屈だけでは持たない。

「裸銅線に布は駄目だな。」

もっと耐熱が必要だ。

ガラス管に銅線を通し、周囲にゴムを流し込む。

さらに不燃オイルを染み込ませた絹テープを何重にも巻く。

試作第二号。

硬い。重い。だが燃えない。

再テスト。

今度は煙が出ない。

「……いける。」

掘削機も、コンベアも、炭鉱仕様に耐えた。

最後の壁は照明だった。

裸電球。

スイッチの入り切りでスパークが出る。

フィラメントは高温。

ガスがあれば一瞬で爆発だ。

LEDがあれば――と何度も思った。

だが、この世界に半導体はない。

「ならば、閉じ込める。」

電球を厚いガラス瓶に入れる。

継ぎ目をシール材で完全密閉。

さらに外側を鋼鉄ケースで覆う。

万一内部で爆発しても、外に炎は出ない構造。

試験室でガスを充満させて点灯。

……爆発しない。

内部で小さな閃光が走ったが、外は無傷。

「これで行く。」

数日後。

宰相から正式な試運転許可が出た。

開発チームは装置一式を積み込み、蒸気トラックで炭鉱へ向かう。

ところが――

坂道で止まった。

「……押せっ!」

全員で押す。

上のトラックが下のトラックを牽引する。

蒸気は噴き出し、男たちは汗だく。

発明は完璧でも、輸送は未熟。

それでも進む。

炭鉱村が見えてきた。

――だが。

黒煙が、まだ上がっている。