作品タイトル不明
異世界料理
第31話 異世界料理
マルペン商会は、2周年記念祭を開催することとなった。
祭りというのは、いくつになってもワクワクするものだな。
美味い料理に美味い酒。楽しい音楽に芝居や出し物。
縁日の屋台や笛や太鼓の祭囃子。何だか、なにもかも懐かしい…。
少ない小遣いでたこ焼き、焼きそば、焼き鳥、綿あめ、かき氷なんか食べたな。
金魚すくい、水風船、お面、射的、型抜き、くじ引き、色々あったっけ。
おみくじを引いてくる鳥、注文すると色んな形を作る飴細工、凄い音がするポン菓子、風船、見世物小屋、色々あったっけ。
その準備として記念祭に出される料理の試食会がはじまった。
料理人が作る、こちらの世界の料理。
食べてみたがヤマタニはあまりピンとこなかった。
こういってはしつれいだが、こちらの世界の料理は今ひとつ何かが足らない気がした。
う〜ん、自分だったら、もっとあーして、こーして、こうやるとパーティーメニューになるな。
結局考えていた事を、自ら実行してしたくなる。
ヤマタニはみんなで立って食べれる、美味しい料理を自ら進んで調理する。
ピザ生地にトマトソースを塗り、ベーコン、チーズ、ピーマン、玉ねぎなどをのせ窯へ入れる。
窯へ入れる。
焼き上がったそれは、完璧とは言えない。
「……ピザ“みたいな”何かだな。」
それでも、子供達は歓声をあげる。
「社長すごい!」
「おいしい!」
次はハンバーグ。
ひき肉と刻んだタマネギなど入れ、卵を混ぜる。
蒸し焼きにし、酸味のある赤いソースをかける。
「これも、まぁまぁだな。」
サンドイッチ。
ホットドッグ風のもの。
ポテトフライ
ハンバーガー
フライドチキン
考えて思い当たるだけの料理を出来るだけ、 それっぽい様に作ってみせた。
次々と試作を並べる。
料理人がじっと見ている。
「……悪くない。」
ぽつりと、彼が言った。
それだけで十分だ。
厨房は熱気と笑い声に満ちる。
子供達は次々に味見をし、頬を膨らませて叫ぶ。
「社長、天才!」
「いや、もどきだよ。全部“それっぽい何か”だ。」
だが、もどきでもいい。
他にも焼きそば、焼き鳥、たこ焼きなんか作って 食べたかったが、ソースや醤油がないからあきらめた。
大事なのは、皆で笑って食べることだ。
準備段階から祭りは始まっている。
飾り付け班が工場の壁を磨き、
孤児院の子供達が花を飾り、
画家が二周年記念のポスターを描き、
警備班が動線を確認する。
活気が、建物そのものを震わせている。
私は高台から工場を見下ろす。
二年前、ここには何もなかった。
今は人がいる。
笑い声がある。
匂いがある。
希望がある。
——準備段階から盛り上がる。
祭りとは、そういうものだ。
さて。
本番当日、何が起きるだろうか。