作品タイトル不明
敵蛮族南西方面軍との戦い
第37話 敵蛮族南西方面軍との戦い
ヤマタニ軍はリチャード軍と合流した。
そして敵本体がいる南西登山口へと軍を進めた。
リチャード軍と合わせ4500程の兵力だ。
カミルに偵察を命じて、軍を率いて馬の足に合わせて、ゆっくりと進軍した。
カミル隊が向かうと、あちこちに戦闘の跡がある。
「これは補給部隊か輸送隊かなにかが、襲われたあとか?」
蛮族の旗に荷馬車などが燃えた跡があり、護衛兵らしき死骸があった。
さらに山の方へ進むと、蛮族の野営地が見えてきた。
「なるほど、リチャード様の言ったとおり、敵本体だろう。大規模な軍が野営している。」
数千から一万くらいの兵力はあるか?
もっとも戦闘兵は6千から7千くらいだと思う。
まともにやったら、あちらがやや有利か?
ヤマタニ様がいれば、ロケット弾で殲滅出来るだろう。
カミルは状況を把握すると、ヤマタニに合流すべく引き上げた。
◆
アルバート軍は敵蛮族補給部隊を2つほど、壊滅させ本城に物資を届けた。
もっともアルバート自体は謹慎中だから、本城には戻らない。
しかし奪取した補給部隊の物資に、帝国の物資があった。
一体帝国と蛮族はどういう関係なのか?
アルバートは考えたが、答えが出なかった。
アルバートはさらに敵を求めて、彷徨う。
アルバートが見つけた敵は補給部隊2つと、後は本体くらいしかいない。
流石のアルバートも、敵本体をまともにやり合う事はしなかった。
やがてヤマタニ軍とリチャード軍が進軍しているのを発券した。
「あの鉄の馬車、いや鉄の車は噂のヤマタニ子爵か?」
「しかも王家の旗をたなびかせている。あれは援軍か。」
ひょっとして、これから敵本体を攻撃するのかもしれない。
今はリチャードが居るから合流は出来ないが、戦いの途中に手柄をたてるチャンスがあるかもしれない。
アルバートは、こっそりとヤマタニ軍に距離をおいて追随していった。
◆
ヤマタニは敵蛮族軍本体から数キロ離れた場所で、陣を敷いた。
装甲車のバッテリーを交換し、行軍した兵を休ませた。
「さて、どうやって敵本体を潰すか?」
ヤマタニは敵攻略方法を思案する。
「やはり、ヤマタニ様の装甲車が前進し、敵射程圏内まで行ったら、ロケット弾で敵司令官を攻撃でしょうか?」
「まー、芸はないが、ロケット弾で一撃が手っ取り早くていい。」
「仲間が殺されるのが、一番嫌だからな。」
ヤマタニは腕組みしながら、答えた。
「そういうことなら、前進に増援部隊を配置。後方にヤマタニ様の装甲車を配置でよろしいかと思います。」
「それで敵の目を前衛に釘付けして前進し、敵司令官が射程に入った時点でロケット弾発射ですね。」
カミルの作戦をやる事にした。
前進はクラクション1回
止まれはクラクション連続2回
後退はクラクション連続3回
と合図に決めた。
ヤマタニ増援部隊は整列し、横列陣形に陣を敷いた。
リチャード部隊はヤマタニの右隣に陣を敷く。
クラクション一回で部隊はゆっくり、敵蛮族本体に接近する。
敵の本体はヤマタニ増援部隊よりも、数が多い。
真正面からくれば、敵蛮族本体のが数で有利だから、当然向かってくるはずだ。
カミルの狙いはそこにあった。
消耗戦になれば敵が数で勝つはずだからだ。
だから必ず正面から向かいうつにちがいない。
距離さえ詰めれば、後はロケット弾を当てられさえすれば、それで終了だ。
敵は陣形を組み、隊列を整え前進して来た。
「いいぞ、後は前衛が戦闘直前にロケット弾発射すれば勝利。」
カミルは思わす呟いた。
一歩づつ前進する歩兵。じりじりと距離は近づいてくる。
あともう少しだと思っていたら、右側面からいきなり現れた一軍が突撃して来た。
しかしヤマタニやカミルは気が付かなかった。
想定外のこの一軍はアルバート隊だった。
いきなり出現したアルバート隊に対応すべく、敵側面の部隊が対応した。
敵司令官はアルバート隊に警戒して、中央後方から左後方に移動してしまう。
そうとも知らずヤマタニは射程圏内に入ったと思い、ロケット弾を全弾発射した。
「3、2、1」
「ロケット弾全弾発射!」
「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ」
「シュルルルルルルルルルル!」
「何だ!あれは?」
「敵の攻撃です!」
「退避!急げ!」
「ドッカーンドッカーンドッカーン!」
敵後方にいた部隊はロケット弾の餌食になった。
だが、敵司令官は健在だ。
敵軍は大混乱に陥った。
前衛のヤマタニ軍は敵前衛部隊に襲いかかる。
混乱した敵前衛はもろく、次々と討ち取られていく。
アルバートの側面部隊も奮闘し、敵側面部隊を食い破る。
「おかしいぞ?敵は混乱しているが、退却しない。」
カミルは思った。
ヤマタニ装甲車はロケット弾の補給を受けていた。
「敵司令官に当たらなかったか?」
「戦端が開かれ、土埃で戦況が全く見えなかった。」
カミルやヤマタニは迷った。
敵司令官の場所が把握出来れば勝てる筈なのに!
ヤマタニもカミルも額から汗が流れる。
「どうなってるんだ。一体?」
一旦戦端が開かれると、あとは戦況の流れを見守ることしか無かった。
一方ロケット弾から回避出来た敵司令官は運が良かった。
蛮族は一時大混乱していたが、司令官があちこち回り叱咤激励して崩壊を食い止めた。
ますます敵司令官の位置がわからなくなっているし、敵味方が入り混じっては、ロケット弾はもう使えない。
しかし、側面のアルバートの攻撃は効果的で、右側面から敵は徐々に崩壊していった。
さらに中央後方部隊がロケット弾でやられてしまい、中央部隊が崩壊してしまう。
そして、数は少ないが国王直属の精鋭部隊の威力は凄まじく敵前衛は崩れ去っていく。
リチャード隊はアルバートの右側面攻撃で崩れた敵部隊を壊滅させていった。
敵司令官は健在だったが、もうここに至っては全軍を維持できなくなってしまった。
「全軍撤退!」
敵蛮族は山脈登山口に殺到して大混乱している。
ヤマタニは装甲車の屋根の上から、登山口にとどめをすれば戦闘は終わると判断した。
「登山口へロケット弾発射する!気をつけろ!」
「3、2、1」
「ロケット弾全弾発射!!」
「シュッ、シュッ、シュッ、シュッ」
「シュルルルルルルルルルル!」
「おいっ!どけっ」
「俺が先だ!」
「俺の方が先だ!」
敵は狭い登山口に殺到し、大渋滞が発生していた。
そこにヤマタニ装甲車のロケット弾が降り注いできた!
「ドッカーンドッカーンドッカーン!」
敵残存部隊は登山口でまとめてトドメをさされた。
ヤマタニ軍の大勝利となる。
「しかし結果として勝てたが、今回は焦ったぞ。」
ヤマタニはため息を漏らす。
「全くです。ヒヤヒヤしました。」
カミルも全くヤマタニと同感だった。
ヤマタニは登山口が使えないように、道を完全に破壊した。
これで蛮族は簡単には、やってこれない筈だ。
しかし北西の戦闘は続き、まだ蛮族の脅威は終わったわけではなかった…。