軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

その砦は落ちた。

第33話 その砦は落ちた。

アルバートは、先日の敗北に腹を立てていた。

兵が逃げる蛮族よりも速く落ち着いていれば、きっと勝利していたはずだ――そう思っている。

部下たちは不甲斐ない。突撃速度は遅く、動きも鈍い。

レオナルドも、もっと早く来てくれれば、あのような事態にはならなかったはずだ。

逆に自分が餌となり、レオナルドに功績を与えてしまった。

「次は絶対に勝ってみせる!」

アルバートには、根拠のない自信が満ちていた。

数日後、再び蛮族が出現した。

「絶好の機会到来だ。出撃する。」

アルバートは、再び出撃する。

この日はまだ日が高く、砦には立ち寄らず、直接敵陣へ向かった。

すでに蛮族は布陣して待ち構えている。

しかし、炊事支度のためか、あちこちで焚き火の煙が上がっていた。

「見ろ!蛮族は飯の支度で油断している。今が絶好の機会だ。」

一方、アルバート軍は進軍で疲れながらも陣形を整える。

両脇に騎兵、中央に歩兵の横列。

ドラが鳴り響いた。

敵歩兵が進軍してくる。

アルバートは歩兵を前進させた。

両軍は中間地点で激突する。

アルバート軍は勢いがあり、初戦では敵前線を押し込んだ。

しかし、先日の損耗と長距離行軍の疲労により、次第に押し戻されていく。

「どうした!蛮族など討ち取って手柄にせよ!」

アルバートは鼓舞するが、劣勢は覆らない。

やむなく両翼の騎兵を投入。

敵も騎馬隊を差し向け、戦いは消耗戦へと移行した。

その頃、砦ではレオナルドが策を説明していた。

「敵は南西の山脈登山口から現れる。ならば、この登山口を封じればよい。」

「では敵本隊は?」と副官リチャード。

「本隊を叩く部隊と、登山口を叩く部隊に分ける。登山口はリチャード、お前に任せたい。」

「はっ。」

そのとき、伝令が作戦室に飛び込んできた。

「大変です!アルバート様が単独で戦端を開き、苦戦中です!」

「なに!?」

戦場では、アルバート軍は元の位置まで押し戻され、崩壊寸前だった。

「押せ!押し返せ!」

その声は戦場の喧騒にかき消される。

「副官、何か手はないか?」

「ございません。予備兵力がありません。」

もはやこれまでか――

そう思った矢先。

レオナルド軍が敵左側面に現れた。

蛮族は予備兵を向けるが、数も足りず対応も遅れる。

側面からの打撃により、敵陣は崩れた。

乱戦の末、蛮族は撤退する。

辛くもアルバートは生き延び、砦へ戻った。

しかし、その戦いでレオナルドは重傷を負い、本城へ後送される。

後を引き継いだのは、副官リチャードだった。

リチャードは有能だったが、怒りを抑えきれない。

「アルバート様。なぜ単独で戦端を開いたのですか?」

「絶好の好機だったからだ。」

根拠はない。

「それにしても、兵がほとんど残っておりません。」

「ならばレオナルドの軍を借りればよい。」

「何を勝手なことを!」

「この軍はレオナルド様の兵ですぞ!」

議論は平行線のまま終わった。

その夜、蛮族が襲来する。

指揮系統は乱れ、野戦は断念。籠城へと移行した。

「どちらの命令に従えばいい!」

「アルバート様か!?リチャード様か!?」

「砦はレオナルド様のものだ、リチャード様だ!」

現場は混乱していた。

アルバートは攻撃を主張し、リチャードは防戦を主張する。

そして――

アルバートは少数の兵を率い、勝手に出撃した。

当然、敵に包囲される。

やむなくリチャードは救出へ向かう。

辛うじて救出には成功した。

だが。

砦へ戻ったとき、すでに遅かった。

煙が立ち込め、蛮族が内部へ侵入している。

「……何かがおかしい。」

蛮族の中に、動きの違う者がいる。

統制された動き。無駄のない足取り。

「鎧が……違う?」

粗末な装備の中に、異質な兵が混じっていた。

「どこの軍だ……?」

分からない。

だが明らかに、蛮族ではない。

誰かが裏で手を引いている――。

司令官不在の隙を突かれ、砦は一夜にして陥落した。

リチャードとアルバートは、本城へ撤退するしかなかった。

「……あの二代目がいなければ。」

レオナルドは負傷せず、砦も守れた。

「……しかも。」

唇を噛む。血の味が広がる。

「レオナルド様の策が実行されていれば、蛮族は封じられたはずだ……。」

怒りは、ただ一人へ向けられる。

アルバート。

砦には、勝利の太鼓が鳴り響く。

蛮族の旗が、風にはためいていた。