軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

敵魔物使いの目的を看破した者

第11話 敵魔物使いの目的を看破した者

次の日も森に向かう。しかし、魔物使いの姿はなかった。

街道の封鎖が解かれ、一般の馬車や人の通行が再び再開された。

そしてまたしばらくすると、どこからともなく魔物の群れが街道にやってくるのだった。

魔物使い討伐についての会議が、ヤマタニ館で行われていた。

「これでは経済活動に支障をきたしますぞ!?」

ゴドールの言うことはもっともだが、討伐に向かうと魔物使いは姿を現さず、放っておくとまた現れる。

堂々巡りである。

「では、どうしたらよいのだろうか?」

ヤマタニは、はっきり言って手がない。どうすればよいかも検討がつかなかった。

「しばらくの間、騎士団で街道の巡回警備をしてみましょうか?」

ミランドが妥協案を出した。

「他に手がなければ、巡回警備しかないだろう。」

ゴドールはその案を呑む。

「……。」

会議は重い空気に包まれていた。しばらく沈黙が続く。

「特に案がなければ、巡回警備をしてみるか……。」

ヤマタニは会議を終わらせようとした。

「ちょっと待って下さい。」

珍しくカミルが発言した。

「敵の目的は街道封鎖ではなく、ヤマタニ様そのものではないでしょうか?」

「というと?」

「はい。ヤマタニ様の装甲車によって二度も魔物を倒された敵は、はっきり言って装甲車を嫌っています。まともには、もう戦いたくないのかもしれません。」

「それに、こちらが連日出ると現れず、出ないと現れます。これが何よりの証拠でしょう。」

「敵がこの方法を取る利点は何でしょう?」

カミルはヤマタニに問いかけた。

「この現状に満足している……ということか?」

ヤマタニは答える。

「そうです。ゆえに、ヤマタニ様に働かせないのが目的だと思われます。」

普段無口なカミルだが、その理屈は筋が通っていた。

「なるほど、その通りだな。」

「おお……。」

他の参加者もカミルの発言に舌を巻く。

「では、そうだとして、どうする?」

「はい。隠密で森に兵を送り込み、敵が出没したら叩くのです。」

「うむ。」

皆、カミルの意見に賛成のようだ。

かくして、この作戦が採用されることになったのだった。

再び街道の通行禁止を解き、一般の通行人や馬車が行き交う。

隠密部隊にはカミルとミランド、そして騎士団員二名が参加した。

残りの者は、いつでも動けるように待機する。

これで想定どおり、敵が現れてくれればよいのだが……。

森に潜み、事前に報告を受けた魔物出没地点から少し離れた場所で様子を見る。

なかなか魔物使いは現れなかった。

しかし、怪しげな黒いローブの男が森を彷徨いている。

「あの男です。騎士団長も自分も見たやつですよ!」

小さな声で、魔物使いであると証言した。

「仕掛けますか?」

「いや、待て。」

ミランドが制した。

「様子を見よう。まだ黒幕がいるかもしれん。」

魔物使いの黒いローブの男は、街道に誰か来ると魔物を操り、通行人を驚かせては喜んでいた。

「くぅーくくくく。」

「あの恐怖に引きつった顔、傑作だ。」

時折やってくる旅人や馬車を脅かす。

中には腕に覚えのある者もいたが、数で圧倒すると逃げていった。

そんな様子を見ては、この男は大喜びしている。

観察していて分かったことがある。

魔物使いは杖の先にオーブを付けており、魔物を操る際には怪しい光を放っていた。

あの杖を破壊するか取り上げれば、魔物を操れないに違いない。

またしばらくして、とある家族が乗った馬車が通りかかる。

「お父さん、サンブレロの街はまだつかないの?」

「ああ。このまま東へ行って森を抜ければすぐさ。」

「テーマパーク、すごい楽しみ。ワクワクしちゃう。」

娘は早く着いて遊びたいようだった。

「しょうがない娘ね。さっきからそればかり。」

母親も、はしゃぎすぎの娘に困惑気味だ。

「……。」

「うわっ!」

そこに魔物の集団が現れる。

ゴブリンにオーガ、狼の魔物などが街道に突如出現した。

慌てる父親。馬が暴れ、馬車は横倒しになる。

その勢いで家族は地面に投げ出された。

「危ない!」

「助けましょう、副団長!」

騎士団員のセシルが叫ぶ。

「まだだ、動くな!」

「しかし!」

ゴブリンが家族に接近する。

我慢できなかったセシルは、ゴブリンに矢を放った。

シュッ――

矢はゴブリンの喉に命中する。

「ちっ、先走りやがって!」

「レイモンドはセシルの援護だ!」

「了解!」

レイモンドはセシルの元へ向かう。

「俺とカミルは魔物使いだ!」

ミランドとカミルは、静かに背後から魔物使いに接近した。

一方セシルは矢を放ちながら家族の方へ回り込む。レイモンドもそれに続く。

セシルとレイモンドの登場に、魔物使いは焦る。

杖をセシルに向けると、魔物が操られ、襲いかかる。

先頭のゴブリンを二匹倒すが、弓を捨ててロングソードを抜き、応戦する。

レイモンドもロングソードを抜き、別のゴブリンに斬りかかる。

完全に隙を突かれた魔物使いは、オーガを二人に向かわせた。

ゴブリン相手なら楽勝だったが、オーガ相手では分が悪い。

二人はじりじりと追い詰められる。

オーガのこん棒の風圧でセシルは転び、尻もちをついた。

「きゃっ!」

セシルはオーガのこん棒の餌食に――

「ん!」

……とはならなかった。

寸前で、こん棒が止まっていた。

カミルが魔物使いの杖を右手ごと叩き切っていたのだ。

オーブの怪しい光が消え、魔物たちは正気に戻る。

頭をかきながら、やがて森へ帰っていった。

魔物使いは手を失い、うずくまる。

「ちくしょう……まだ仲間がいたか……。」

傷ついた魔物使いはミランドによって拘束された。

しかし――

「しまった!毒か!?」

魔物使いは歯に仕込んだ毒で、あっという間に自害してしまう。

口を開かせて吐かせようとしたが、すでに息絶えていた。

こうして街道を封鎖していた魔物使いは討伐されたが、黒幕や背後関係は分からずじまいとなり、事件は幕を閉じたのだった……。