軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

謎の魔物使い

第10話 謎の魔物使い

後日、ゴドールらが意識を取り戻した。

ヤマタニは、あの日に何が起きたのかをすぐにゴドールにたずねた。

「あの日、あのあとどうしたんだ?」

「あぁ。ヤマタニ様と別れた後、森に向かいました。」

ゴドールは静かに語り始める。

「単に、あの魔物の鳴き声が気になっただけです。ですが、どうも森の奥から聞こえてくるようでして……。」

「森の奥まで様子を見に行き、そのまま帰ろうとしたのですが――。」

そこで一度言葉を切る。

「魔物の群れに遭遇してしまいました。」

「夜通し、逃げては戦い、戦っては逃げることの繰り返しでした。」

「そして、ついに疲れ果ててしまい……面目ありません。」

ゴドールは深く頭を下げた。

「いや、無事で良かった。」

ヤマタニは短く言い、顔を上げるよう促す。

「しかしながら、魔物の群れを操っている男がいます。」

「それはどんな奴だ?」

「はい。魔物を操っている男は、おそらく魔物使いかと。ですが、流石に倒すことは出来ませんでした。」

「……謎の魔物使いか。」

ヤマタニは小さく呟いた。

「ヤマタニ様、どうかお気をつけください。」

「ふむ……。」

実のところ、ヤマタニ自身もすでに魔物の群れと遭遇していた。

だが、そのことはあえて口にはしない。今は何より、ゴドールの休養が優先だ。

街道は再び通行可能となり、様々な人々が往来し始めた。

あれほどのロックゴーレムが出現した以上、本来ならば長く警戒が続いてもおかしくはない。

それでも人の流れは戻り、街道はひとまずの平穏を取り戻したかに見えた。

しかし――

しばらくすると、街道沿いの森で再び魔物が出没し、通行不能となったという報告が入る。

「……これではイタチごっこだな。」

ヤマタニは低く呟いた。

ロックゴーレムに続き、今度は魔物の群れ。

明らかに、何者かの意図が働いている。

何らかの対策を講じなければならない。

最も手っ取り早い方法は、その魔物使いを倒すことだが――

相手の所在も動きも掴めない以上、慎重に事を進める必要がある。

ヤマタニはゴドールに視線を向けた。

「魔物の群れへの対応部隊と、魔物使い討伐の部隊に分けるべきだな。」

「……はい。」

「まず俺が囮になって魔物を引きつける。その間に別働隊で魔物使いを叩く。どうだ?」

ゴドールはしばし黙考した。

やがて、ゆっくりと口を開く。

「悪くはありません。ただ……何が起こるかわかりません。」

「予備部隊をヤマタニ様の側に置きましょう。万が一に備えて。」

「……わかった。それでいこう。」

こうして作戦は決定した。

ヤマタニ本隊が囮となり前面へ出る。

ゴドールは予備部隊として後方に控える。

ミランドとカミルは別働隊として魔物使いの討伐に向かう。

その他の部隊はヤマタニの両翼を固め、支援に回る。

それぞれの役割が明確に定まり、準備は整った。

明日、街道の森にて魔物掃討が行われる。

翌朝。

ヤマタニは装甲車に乗り、騎士団とともに街道の森へと向かった。

森へ足を踏み入れると、空気が一変する。

静けさの中に、どこか張り詰めた気配が漂っていた。

だが――

森を進んでも、魔物使いの姿は一向に見当たらない。

魔物の気配はある。だが、肝心の“主”が現れない。

「……また、帰り際の待ち伏せかもしれないな。」

ヤマタニはそう判断し、部隊に引き返すよう命じた。

進軍ではなく、あえて退くことで敵を誘い出す。

だが――

それでも、魔物使いは姿を現さなかった。

「……一体どういうつもりなんだ?」

ヤマタニは眉をひそめる。

敵の意図がまるで掴めない。

ゴドールが警戒を崩さず、静かに言った。

「何らかの揺動かもしれません。こちらの隙を窺っている可能性があります。」

「……なるほどな。」

ヤマタニは周囲を見渡す。

森は静まり返っている。

だが、その静けさがかえって不気味だった。

――見られている。

そんな感覚だけが、拭えずに残る。

結局その日は、魔物使いと対峙することなく帰還することとなった。

なぜ現れないのか。

何を狙っているのか。

疑問だけが積み重なっていく。

ヤマタニたちは警戒を強めつつ、再び森へ向かうしかなかった――。