軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

討伐に参戦せよ!

第5話 討伐に参戦せよ!

ベルナム伯爵兵はカナール砦に突撃したが、戦鎚はまったく歯が立たない。

投石機も投入しているが、ほとんど効果はなかった。

カタール砦は丘の上にあり、梯子や攻城塔も使えない。

「わっはははは!」

「このバルサム様を討ち取りたくば、かかってこい!」

「おのれ……カタール砦の城壁さえ何とかできれば勝てるのに!」

ベルナム伯爵は唇を噛み、悔しさをにじませた。

すでに五度にわたって突撃したが、まったく落とせる気配がない。

「クソ……。」

「仕方ない、六度目の突撃準備だ!」

「おやめください! これ以上は兵士が無駄死にします!」

「砦を囲って、持久戦に持ち込むしかありません!」

「しかしな……これ以上、時間はかけられん。」

兵士の消耗も激しく、これ以上の突撃は危険だった。

これは――増援しかないか……。

突然、国王からの使者がやってきた。

また新しい装甲車が欲しい、などと言ってきたのかと思ったが――予想は外れた。

ベルナム領にあるバルサム騎士爵が反乱を起こし、カタール砦に立て籠もった。

この砦攻略に参戦せよ――という王からの勅命が、ヤマタニ男爵に下ったのだ。

「断れないのか?」

「無理です。」

執事長は静かに答えた。

砦攻略ということは、装甲車の火力を当てにしているに違いない。

あれなら遠距離から外壁を破壊できる。弾頭を替えれば、城壁など容易に吹き飛ばせる。

地図を確認すると、ベルナム領のカタール砦までの距離では、装甲車のバッテリーがもたない。

蒸気トラックに予備バッテリー、弾薬、食料、水を積んでいくか。

カミル副団長に留守を任せ、ドゴールら九名の騎士と共に出発した。

ヤマタニ装甲車改――ヤマタニ、トミー、ミランド

トラック一号車――ドゴール、騎士達

トラック二号車――馬、装備

トラック三号車――馬、装備

トラック四号車――弾薬、食料など

朝一番に出発し、その日の夕方にはベルナム領へ到着した。

「準備に手間取り、到着が夕方になってしまいました。申し訳ありません。」

ベルナム伯爵は呆気にとられた表情を浮かべた。

「どうされましたか?」

「いや……あまりにも早い到着でな。驚いてしまったのだ。」

なるほど。自動車で来たからか。

ベルナム伯爵によれば、反乱を起こしたバルサム騎士は、カタール砦に二週間ほど立て籠もっているという。

何度攻めても落とせぬ、難攻不落の砦。

そこで陛下に願い出て、ヤマタニ男爵を招集したのだ。

「ヤマタニ男爵には、カタール砦の城壁を何とかしてほしい。」

「ヤマタニ男爵の装甲車が頼みの綱だ。その力を存分に発揮して見せてくれ。」

「城壁さえ破れば、あとは我らで突撃する。」

なるほど、単純明快な作戦だ。

自分が呼ばれた理由も想定内だった。

翌朝――作戦は開始された。

各部隊は配置につき、合図があり次第攻撃開始となる。

ヤマタニの装甲車、騎士団は早速と出陣し配置についた。

「パォォォォォォーーーーン。」

ラッパが鳴り響く。

一瞬の静寂が、あたりを包み込んだ。

次の瞬間――

ヤマタニ装甲車の屋根に装備された八連ロケットランチャーが、一斉に火を吹いた!

「バシュン! バシュン! バシュン! バシュン!」

「ドッカーン! ドッカーン! グォォォーン!」

それは、この世界の戦ではありえない威力だった。

カタール砦の城壁や城門に次々と命中し、爆煙が立ち上る。

城門の一部は内側へ吹き飛び、瓦礫が中庭へと舞い上がり、あちこちに降り注いだ。

どうやら城門は、完全に破壊されたようだ。

ラッパやドラの音が鳴り響く。

土煙を上げ、ベルナム伯爵の部隊が一斉に突撃した。

続いて第二陣も、次々と砦内へ流れ込んでいく。

やがて――

カタール砦の旗は、ベルナム伯爵の旗へと塗り替えられた。

ベルナム伯爵が馬に乗り、ヤマタニのもとへ駆け寄ってくる。

「ヤマタニ男爵! 凄いぞ、これは!!」

「まさに神の雷だ……! 人智を超えた兵器 だ……!」

「ぜひ売ってくれ!」

「残念ながら、お売りできません。陛下からも止められておりますので。」

装甲車などの兵器は、許可なく売らないよう命じられていた。

「そうですか……残念です。」

まるで子供が玩具を買ってもらえなかったかのような顔をしている。

砦の周囲には強い風が吹きすさび、勢いよく旗がたなびいていた……。