軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

街を明るく照らす

第6話 街を明るく照らす

この王都では、街灯にガス灯が使われていた。

夕方になると係の者が一本一本、火を入れて回る。

ガス灯は主要通りを安定した光で照らし、夜の街を支えていた。

だが――問題もあった。

石炭ガスを用いるこの仕組みは、常に危険と隣り合わせだったのだ。

ガス漏れや圧力の不安定さにより、炎が突然大きくなったり、最悪の場合は爆発を引き起こす。

家庭用でも同様の事故が発生し、一酸化炭素中毒の危険もあった。

安全に使うには細心の注意が必要だった。

一方――

ヤマタニが発明した電球は違う。

安定した光を長時間灯し、事故の危険も極めて少ない。

ただし欠点があった。

バッテリーである。

定期的な充電、もしくは充電済みのバッテリーをソンブレロモネダ商会から購入しなければならなかった。

だが、サンブレロの街はさらにその先へ進んでいた。

「なんだ……この明るさは!?」

「夜中なのに、昼間のようじゃないか……!」

訪れた旅人たちは、思わず足を止める。

そこにあるのはガス灯ではない。

電灯だった。

街全体が、白く安定した光に包まれている。

暗くなると同時に、一斉に灯る街灯。

火を入れる者は、どこにもいない。

その結果――

夜間の犯罪率は大幅に低下していた。

遠くから見れば、サンブレロの夜景は幻想的ですらある。

外周を巡る蒸気外輪船の灯り。

時折走る蒸気機関車の光。

街路を照らす無数の電灯。

そしてヤマタニ屋敷とヤマタニランドの輝き。

それらが重なり合い、ひとつの光の都市を形作っていた。

だが、この光には裏側がある。

既存の工場の発電だけでは、街全体を賄えなかったのだ。

ゆえに――

新たに大規模発電所が建設され、電力は街中へと供給された。

この街の強みは、それだけではない。

ヤマタニの先見性により、街の建設段階からすでに電力網の整備が進められていた。

下水工事と同時に、耐水電線を地下へ埋設。

後から掘り返す必要すらなかった。

各施設・店舗には契約により電力が供給され、夜の営業を可能にしている。

さらに――

電気は生活そのものを変え始めていた。

夏にはファンが回り、涼風を生む。

そして今、最も注目されているのが――冷蔵庫である。

これまで保存といえば、氷室の氷を用いた保冷庫が主流だった。

上段に氷を置き、その冷気で下段を冷やす単純な構造。

肉や野菜は塩漬けや乾燥保存が一般的だった。

だが、新たに開発された電気冷蔵庫は違う。

コンプレッサー式により、冷凍庫で氷を作り、冷蔵室で食材を長期保存できる。

まさに――異世界における革命的家電であった。

この功績により、ヤマタニ男爵は国から感謝状を授与される。

さらに礼金として――金貨三百枚。

その名は今や、王都にも広く知れ渡り始めていた。

ヤマタニは次にコンプレッサーを利用した製品を手がけ始めた。