軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

大盗賊団再び

第77話 大盗賊団再び

装備を整えた大盗賊団は、サンブレロのヤマタニ屋敷を再び狙っていた。

以前の屈辱を晴らし、大金を奪うために――。

「以前は簡単に奇襲できましたからねぇ。今回もやってやりましょうぜ。」

「そうだな……だが油断はするな。」

シグマは低く言う。

「やつの発明品には気をつけろ。あの奇妙な車にはしてやられた。」

「へへっ、今回は問題ありませんぜ。」

部下がニヤリと笑う。

「すでに引き込み役を潜入させております。門は内側から開きます。」

「しかも街や屋敷内じゃ、あの車も使えません。」

「……なるほどな。」

シグマは酒をあおり、女を引き寄せて笑った。

「いいだろう。今度こそ終わりにしてやる。」

孤児院上がりの騎士団最年少、ピケは塞ぎ込んでいた。

騎士団に入ったものの、重傷を負い長く戦線を離脱。

復帰後もジャイアントボアに吹き飛ばされ失神。

盗賊団討伐でも、目立った戦果は上げられなかった。

今はヤマタニ屋敷、南門の警備を任されている。

「……一般兵と変わらないな。」

自嘲気味に呟く。

そんなある日。

用を足しに向かった物陰から、ひそひそとした声が聞こえてきた。

「合図は口笛だ。タイミングを見て、閂を外せ。」

「これが報酬だ。成功すればさらに出す。」

「……わかった。」

ピケが音を立てた瞬間、気配は消えていた。

(今のは……内通者か?)

一瞬迷う。

(証拠もない。だが――。)

拳を握る。

(ここで何もしなければ、また同じだ。)

ピケは駆け出した。

数日後。

大盗賊団がサンブレロの街へ押し寄せた。

その数、およそ百。

門はあっさりと突破され、ヤマタニ屋敷は完全に包囲される。

「ヤマタニ!今日がお前の命日だ!」

「かかれ!!」

シグマの号令と共に、一斉に突撃が始まった。

南門。

――ピィィィッ。

口笛が響く。

跳ね橋が降り、門が開かれた。

「引き込み役が成功したぞ!突っ込め!」

二十名ほどが一気に内部へなだれ込む。

だが――

「……なんだここは?」

進んだ先は行き止まり。

正面は壁、左右も壁。

袋小路。

「おい、門を開けろ!」

再び口笛が鳴る。

しかし――何も起きない。

次の瞬間。

上から無数の矢が降り注いだ。

「ぎゃああああ!!」

逃げ場のない虎口で、盗賊たちは一瞬で殲滅された。

他の門でも同様だった。

門前で足止めされた盗賊たちに、矢と石が容赦なく降り注ぐ。

気づけば、百いたはずの盗賊団は半数以下に減っていた。

「お頭、やべぇですぜ!」

「……ちっ。」

シグマは歯噛みする。

「門は諦めろ!縄梯子だ!壁を越えろ!」

盗賊たちは一斉に塀へ取り付く。

しかし――

上から石が落ち、次々と叩き落とされる。

ようやく登りきった者には、熱湯が浴びせられた。

「ぐああああ!!」

さらに、容赦ない弓矢。

誰一人として、屋敷内部へ辿り着けない。

「くそ……!」

シグマが次の策を巡らせた、その時――

「門が開くぞ!」

重々しい音と共に、正門が開いた。

現れたのは、整然と並ぶヤマタニ騎士団。

「反撃開始だ。」

号令と共に、一斉に突撃する。

統率の取れた動きに、盗賊団は一気に崩れた。

「や、やべぇ!逃げろ!」

シグマは舌打ちし、撤退を決断する。

「撤収だ!!」

散々に打ちのめされ、大盗賊団は逃げ去っていった。

この勝利の裏には――

一人の小さな決断があった。

南門の警備に立つピケは、静かに拳を握る。

「……やっと、役に立てたか。」

その報告は、確かにヤマタニへと届いていた。

ピケにとって――初めての“手柄”であった。

二部 完