作品タイトル不明
アークガイルの陰謀
第76話 アークガイルの陰謀
アークガイルは死の商人ツバイルを呼び寄せた。
「大盗賊団のシグマがヤマタニを襲いたがっているらしいぞ。」
「ほほぉ。」
ツバイルは目を細め、顎髭を触りながら笑う。
「そしてな。敵対貴族や敵対商会なら金を出してくれるはずだ。これが敵対勢力の名前が書いてあるリストだ。」
ツバイルはアークガイルからリストを受け取る。
「敵対勢力から資金を集め、その資金で武器を大盗賊団に与えれば、勝手に働いてくれるだろうよ。」
「ふむ。それはなかなか面白いですな。」
「しかし何故、あのヤマタニにそこまで?」
アークガイルは鼻で笑った。
「あぁ。俺の商売の邪魔をするからな。始末したいだけですよ。」
一拍置き、低く続ける。
「……あの顔を見るとな。」
「潰したくなるんですよ。跡形もなく。」
「……善人面、ですか。」
「偽善者ほど厄介なものはない。ああいう奴は周りを巻き込んで勢力を広げる。」
「今のうちに潰しておかねぇとな。」
ツバイルはゆっくりと頷いた。
「なるほど。合点がいきました。」
「――戦が起きれば、我々は儲かる。」
「こちらも商売ですからね。」
「では、その様に取り計らいましょう。」
◆
ツバイルが敵対勢力に相談を持ちかけた。
あちこちの貴族や商会から、予想以上の資金を集めることが出来た。アークガイルの言った通りだ。
(さて、この資金で――どれだけ“良い戦”を作れるか……。)
ツバイルは薄く笑う。
(どうせなら、長く苦しむ戦にした方が儲かる。)
◆
シグマに繋がりのある酒場を訪ねた。
カウンターに座り、マスターに話しかける。
「シグマと取り引きしたい。」
ツバイルは小声で告げた。
「何処の回し者だ?」
「武器商人です。――ヤマタニの敵対勢力から“贈り物”を預かってましてね。」
マスターはツバイルを一瞥し、無言で立ち上がる。
「……ついて来い。」
隠し部屋へと案内された。
◆
数日後。
ツバイルからの“贈り物”が、シグマのアジトへと届いた。
木箱の中には、剣、防具、そして様々な武器。
倉庫には同じ箱が山のように積み上げられていた。
「これだけあれば、やつらと互角以上に戦える!」
シグマは一本の剣を取り出し、軽く振る。
次の瞬間――
近くにいた仲間の一人を、何の躊躇もなく斬り裂いた。
「ぎゃああああ!!」
血が飛び散り、男はその場に崩れ落ちる。
ドサリ。
「……なかなかだな。」
シグマは刀身についた血を指でなぞる。
「クク……いい贈り物だ。」
倒れた仲間には目もくれず、口元を歪めた。
「ヤマタニ……楽しませてくれよ」