軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

冒険者アルの仕事

第59話 冒険者アルの仕事

「あ〜……またネズミ退治かよ。」

穀物庫の見張り番。

気づけば、アルは“ネズミ専門”のようになっていた。

仕事があるのはいい。

だが——昼夜逆転の生活は、地味に堪える。

(俺、何やってんだろうな……。)

そんなある日。

掲示板に新しい依頼が貼り出された。

——近くの畑が荒らされている。原因不明。

アルはすぐに察した。

(……ああ、俺のせいか。)

穀物庫を守ったことで、ネズミは餌場を変えたのだ。

深夜。

畑に現れたのは——やはりネズミ魔物だった。

アルは迷いなく斬り伏せる。

「……今日は8匹か。」

だが——

朝方、再び気配がした。

今度は違う。

逃げる“人影”。

追いついた先にいたのは——

小麦を抱えた、二人の少女だった。

「あの……見逃して……。」

震える声。

細い腕。

——魔物より、よほど弱い存在だった。

焚き火の前。

「……腹、減ってんだろ。」

差し出したパンとチーズ。

最初は警戒していたが——

一口食べた瞬間、止まらなくなった。

むしゃむしゃと、夢中で食べる。

その様子に、アルは目を細めた。

(……昔の俺だ。)

「その麦、どうやって食ってた?」

「……お湯に入れて……増やして……。」

「そっか。」

静かに頷く。

(ネズミだけじゃねぇ……。)

(人間も、食い場を失ってる。)

「このままだと、お前ら奴隷送りだぞ。」

びくっと震える二人。

アルはすぐに手を上げた。

「安心しろ。悪いのはお前らじゃない。」

一瞬だけ、言葉に詰まる。

そして——

「……悪いのは、全部——魔物だ。」

夜明け前。

アルは二人を連れて、孤児院へ向かった。

背後では、穀物庫の消した焚き火の跡の煙が小さく揺れている。

守ったはずの場所。

だが、その外で——守れなかったものがあった。

朝日が昇る。

やけに、眩しかった。

(……これでいいのかよ。)

答えは出ない。

だがアルは、歩き続けた。