軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

真犯人を探せ

第54話 真犯人を探せ(強化版)

ヤマタニは確信していた。

——敵は、必ずもう一度来る。

「警備を一部、外せ。」

その命令に、現場はざわついた。

「よろしいのですか? また被害が——。」

「構わない。」

即答だった。

「餌を撒かなければ、魚は釣れない。」

その声に、一切の迷いはない。

既に“狩り”は始まっていた。

その夜。

あえて警備を薄くした車庫に、影が滑り込む。

二人組の男。

足音を殺し、周囲を警戒しながら進む。

「……本当に大丈夫なんだろうな。」

「報酬は破格だ。やるしかねぇ。」

低く交わされる声。

前回と同じ手口。

車体の下へ潜り込もうとした——その瞬間。

「そこまでだ。」

闇を裂く声。

次の瞬間、松明が一斉に灯った。

視界が焼けるように明るくなる。

「なっ!?」

逃げ場はない。

既に周囲は騎士団に塞がれていた。

剣が向けられる。

「動くな。」

わずか数秒。

それで全てが終わった。

取り調べは、密室で行われた。

最初、男たちは口を閉ざしていた。

視線を逸らし、歯を食いしばる。

——だが。

「依頼主は誰だ。」

ヤマタニの声は低く、感情がなかった。

その“無”が、逆に重くのしかかる。

沈黙。

時計の針の音だけが響く。

コツ、コツ、と。

「……言わないなら、それでもいい。」

ふと、ヤマタニが言った。

「ただし——お前たちの雇い主は、もうお前たちを切っている。」

男の肩が、わずかに震えた。

「証拠は残さない。そういう連中だ。」

「っ……。」

「つまり、お前たちは——“消される側”だ。」

静かに告げられる事実。

逃げ道が、完全に塞がれる。

「……し、知らねぇ……!」

ついに崩れた。

「ただ……!」

顔を上げ、叫ぶ。

「“ハモンド様のとこ”に金をもらっただけだ!」

その名が出た瞬間——

部屋の空気が、凍りついた。

同時刻。

ある屋敷の一室。

「……捕まったか。」

ハモンドは静かに呟いた。

机の上には、既に処分された書類の灰。

証拠は、残っていない。

「だが、問題ない。」

ゆっくりと立ち上がる。

「駒は捨てるためにある。」

その声音に、一切の揺らぎはない。

窓の外。

夜の街を見下ろしながら、薄く笑う。

「せいぜい足掻くがいい。」

「ハモンド……。」

ヤマタニはその名を繰り返した。

——やはり来たか。

だが、まだ足りない。

名前だけでは、潰せない。

証拠がない。

法も、貴族も、この段階では動かせない。

「……いいでしょう。」

静かに呟く。

その目に、冷たい光が宿る。

机に地図を広げる。

視線は一点——

ハモンドの拠点へ。

「証拠を探す必要はない。」

ぽつりと、言った。

「証拠を“作らせる”。」

静寂。

そして、わずかに口元が歪む。

「追い詰めれば、必ず動く。」

その声は確信に満ちていた。

「ならば——逃げ場ごと潰す。」

完全に、獲物を狙う目だった。